2.繊細で情感漂うBGMも必要としないくらい絵作りが素晴らしい。むしろフランキーのように音のない世界で浸って観たい気がした。張り詰めた母親の心を見透かすほどに、意地悪少年もいつか取り込んでしまうほどに大きくても、夢みた「父親」との時間を引き伸ばすため必死になり震える、小さなフランキーの心。大柄な体が父親の包容力を感じさせるJ・バトラーが無骨でも情の深い名無しの男を演じ、荒んだ母親の心まで包み込む。ストレンジャーの生活、少年の心の綾、すべてを語ることもなく静かに終わりを迎える物語。母と息子、それぞれの胸に灯をともして。