1.「さよならからはじまることもあるんだよ。」っていいせりふかもしれない。僕はどちらかというと「さよならからはじまることしかない」というかんじなのだが。たまに、人間はいろんな人を看取るために生きているのではないかと思う。この映画も、死んだ人が送られ、残った人が力を得て歩き出す。残った人もいずれは送られる。そんな流れを静謐に描いている。二人の浜辺のシーンとか、病室で影絵をするシーンとかは、映画的にもよくできているシーンだと思う。あとは、原田知世がすてきだ。みんなが捨てたガラス破片を通過することでぬくもりのある光を燈すランプが生まれる。おそらく、この世の中を守っているのは、みんなが見捨てたものだけを見つづける視線なのだろう。そういう視線がなければ、世界は簡単に極端な暴走までいってしまう。人が捨てたものを見る(by宮本常一)。だからこの映画もみんながみるものにしか興味を示さない人にとってはナンセンスに移るに違いない。