13. 冷戦時代の東ドイツを舞台に、オーウェルの小説を思わせる「1984年」から始まるディストピア。シュタージの監視・密告社会がいかに過酷なものであったか、マスコミ報道で知識はあったが映像で可視化されると改めて実感が湧いてくる。言いたいことが言え、やりたいことがやれる社会がどれほど大切か痛感させられる。人間性を押し殺した無表情の主人公や、無機質で殺風景な街並みが「社会主義」の現実を見せつける。 独裁国家における監視社会の実態を暴きながら、一人の男の心の変遷を丁寧に描いている。監視する側が監視対象の人間味あふれる行動に心揺さぶられ、最後は人間としての尊厳と自由に目覚める。音楽が重要な役割を果たし、邦題はそれを象徴的に表して秀逸。 かつて「〇〇と△△をむすぶ」という定期刊行物に、東ドイツの訪問記を寄稿した連中がいた。散々かの国を礼賛した彼らはこの映画を観て何思う? 【風小僧】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2023-03-19 13:39:06) |
12.画面から終始漂う厳かな雰囲気が特徴の、映画らしい映画。 主人公のはげ頭のおっちゃんの人間像が丁寧に描かれているわけではないので、 彼の心境の変化が唐突に感じられるかもしれないけど、そこはあくまで想像力で。 このおっちゃんに感情移入できるかどうかが、本作に好印象を覚えるか否かの一番のポイント。 タイトルどおり、人間の善をテーマにしているも、ベタなシーンはほぼ削られており、 製作者側のセンスを感じさせてくれる。秀作。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-27 02:12:17) |
11.真摯にきっちりと作られているものの、表現としては十分でないところがあってドイツ映画らしく生硬かもしれませんが、何を描きたかったかは伝わってきます。 最後もドライマンが自分のために大きな犠牲を払ったヴィースラーにもっと報いてあげてほしい気はしましたけれども、相手の誇りを傷つけずに自分にできる最上の方法を選んだのでしょうし、相手もまたその気持ちを受け取った。 一度も言葉を交わしたことのない人間同士の友情の表現として簡潔で清しいものに感じられます。 クリスタの魅力が薄いのは「男の映画」だからでしょうか。 彼女の女優業への情熱は恋人ドライマンよりヴィースラーの方が理解していたのでしょうね。 他人のために得にもならないことをする人は、このような特殊な状況下でなくとも世の中にいてほしい気がします。 (ドライマン役のコッホは「飛ぶ教室」の禁煙さんでしたが、ゲデックは「マーサ」とはわからないくらいイメージが違いました) 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-17 00:30:05) (良:1票) |
10.東ドイツって、不自然なほどスポーツが強い(オリンピックでは)イメージがあったけど国内の実情は物騒だったんだな~。いずれにしても行きすぎた国家権力って恐ろしい。重苦しい内容の作品ですが、ラストがとてもいい。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-30 23:20:57) |
9.主人公の心の移り変わりをもう少し丁寧に描いてくれたら、もっと主人公に感情移入できたと思う。 主人公と作家が最後まで顔を合わせない演出はとても良かった。 途中いいシーンがいくつもあったが、オチが自分の読み通りだったため、 大きな感動は得られなかった。 映画の雰囲気自体はとても好み。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-03-25 03:23:52) |
8.何と言えばいいのだろう。心に染み入る、印象深い作品。何故そこまでに感情が移り変わるまでの変化があったのか。理解できないようで、どこかで理解しえる自分もいる。本来人間の持つ、無償の善。とても人間味の溢れるような、考えさせられるような、それでいて深みがありすぎる割に後味は全く悪くない、色々な意味で印象深い作品であり、ラストは痛快でさえある。こんなに飾らない痛快さは見たことがない。 【Andrej】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-09-22 03:07:49) |
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7.淡々と進んでいく物語。特に起伏があるわけでは展開の中で、徐々に心境に変化があらわれる主人公。国家を敵に回した代償は大きいように思われたが、その見返りにまっていたものは・・・素晴らしい終わり方だった。 【茶畑】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-08-10 19:38:12) |
6.概ね他の方々と同じ意見です。 とにかく邦題が良くない。 私はピアノソナタが肝になっている映画だと思い込んでしまい、 観終えてみたら、すごく余計な意識だったと思った。 邦題は気にしないようにしているが、 本作は言葉として綺麗だったので頭に残ってしまった。 残念。 惜しい部分もいくつかあるが、それでも良い作品でした。 【祥子】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-07-20 15:50:43) |
5.邦題がソナタの作品における存在感を無駄に強くしてしまった感があります。 「善き人のための」というのもあまりに短絡的でしょう。 これから見る方は邦題を、特にソナタという言葉を頭から除外して鑑賞することをお勧めします。 【njld】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-05-01 16:51:43) |
【Yoshi】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-04-19 01:26:18) |
3.The Lives of Othersが英題らしい。直訳していない邦題は素晴らしいと思う。 ナチ崩壊後の東ドイツ。ナチ時代と同じような弾圧、迫害、差別等を感じた。 最後の場面はなんとも言えない感動をおぼえた。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-02-03 18:11:02) |
2.あの時代、あの社会情勢を舞台としているのに、非常に静かな映画でした。職務に忠実なヴィースラーという男が変わっていくその過程が淡々と描かれています。「より善く生きる」その術を見失っていたのは彼もそうですし、体制崩壊数年前という設定から、社会全体がゆらゆらと揺れていたのでしょうね。わりとありがちな物語だし、彼の気持ちが変わる要因にもうひとつ力が欲しいところでしたが、静かに目覚める男のラストの瞳はなかなか爽やかな色をしていました。ウルリッヒ・ミューエの名演につきると思います。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-11-04 18:29:45) (良:2票) |
1.大尉の心が揺らいだきっかけが不明瞭なのと(「善き人のためのソナタ」にまつわる逸話だけでは弱い気も…)、ラスト手前のものすごい時間の経過にやや消化不良を感じますが、総じて落ち着いた雰囲気のいい作品だったと思います。不用意に東西ドイツ問題について風呂敷を広げず、あくまで大尉(及びそのごく周辺のみ)の視点の範囲に絞った構成も◎。 【とかげ12号】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-09-29 18:58:48) |