4.ホラー映画はプロレスに似ている。
プロレスというのは、決して真剣に見たり、熱中する文化ではない。昔はそうだったのかもしれないが、少なくとも今は違う。もはや誰もプロレスを真剣勝負だなんて思っていないし、やる側も思わせようとしていない。
だが、その上でレスラーは演じ、客は楽しむ。一周回った文化ならではの、独特の楽しみ方で。
ホラー映画も同じだ。多少の差こそあれ、もうホラーを怖がろうとして見る映画ファンは皆無で、作る側もそれを分かっていて、その上で遊んでいる。
だが、映画ファン以外の人に、その楽しみ方の説明をするのは難しい。
どうすればホラー映画の楽しさを分かってもらえるのか? ……そういう時に、この「スペル」みたいな映画は重宝するだろう。
この映画、というかサム・ライミ作品は、現代におけるホラー映画の楽しみ方を分かり易くレクチャーしてくれる優しい教師だ。こういう風に楽しむんだよ、こういう風に笑うんだよ。そんなふうに大人の顔で語りかけてくる。
プロレスの楽しさが分からない人がWWEを見て理解するように、ホラー映画の楽しさが分からない時には「死霊のはらわた」や「スペル」を見て理解するのが良い、の、かもしれない。
べつにピーター・ジャクソンでもいいけれど。
要するにそのテの映画。ババア対ブス。