16.「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったもの。 歴史上におけるトピックスと成り得る出来事は、往々にして、「創作」における「遠慮」を容易に飛び越えていく。 もしこの映画のストーリー展開が、完全なる創作だったとしたならば、「なんて安直で都合のいいストーリーだ」と批判は避けられないだろう。でも、事実なのだから、ストーリー展開そのものに対しては、批判のしようがないというものだ。 この映画は、二人のリーダーの話である。 一人は、ラグビー南アフリカ代表チーム“スプリングボクス”のキャプテンであったフランソワ・ピナール。そしてもう一人は、南アフリカ共和国という国そのものを率いたネルソン・マンデラ大統領その人だ。 特に際立っていたのは、モーガン・フリーマンが演じるネルソン・マンデラという「指導者」の、使命感と人生観だった。 27年間に及ぶ獄中生活を経てからの大統領就任。その初日の描写からこの映画は始まる。 当然あるはずの怒りや憎しみを抑えこみ、融和と寛容によって国家の混乱を治めようとする指導者の姿には、南アフリカ共和国にかぎらず、世界中総ての人々が教訓とすべき“在り方”が示されていたと思う。 そして、その偉大な指導者の人間性に触れ、国内において微妙な立ち位置の代表チームの主将として、「勝利」することの価値の大きさに共鳴していくフランソワ・ピナールの振る舞いが印象的だった。 偉大なリーダーの信念によって、人が、チームが、国が変わっていくということの本質を、この映画は伝えるのだと思う。 劇中、マンデラ大統領がこう言う。 「変わるべき時に私自身が変わられないなら、人々に変化を求められません」 必ずしもリーダーという立場にあろうがなかろうが、変わるべきは常に自分自身ということなのだろう。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-09-04 18:49:16) (良:1票) |
15.スポーツの政治利用というかナショナリズムの高揚には反対の立場なので、複雑な思いで見ていたが、まあこの場合は民族問題が関係しているので仕方ないのかなという気もした。マンデラはある種の寛容の精神により、ラグビーを上手く利用したのだろうと思う。 ラグビーは基本的に上流階級が行う閉鎖的なスポーツなので、それが瓦解していく過程は丁寧に描かれていたと思う。そもそもラグビーは国際大会になじまないし、南ア大会はW杯3回目で、ファンの関心はそれほど高くなかったと思う。それは今でも変わらないし、決勝トーナメントにも出る可能性がほとんどないのに、なぜか2019年に日本で開催するけど、結果的には盛り上がらずに、世界に恥をさらす事になるんだろう。 今は日本代表にも複数の多国籍外国人選手がいて、以前よりは強くなったがそれもどうなんろうという気もする。もう国際大会で国とか民族がどうのこうのいう時代ではないし、そういう意味では歴史的イベントとしての記録映画的な価値はある。ロムーはそっくりで本人かと思ったが、俳優だったとは。 |
14.立派すぎる内容とうまくいきすぎる展開に少々気味悪く気持ち悪いほど。しかしそれはそれ、実話だからこそ意味があるのだろう。モーガン・フリーマンのネルソン・マンデラは文句ないし、アパルトヘイトやラグビーワールドカップなどについても大変勉強になった。ただマンデラがどうして離婚したのか疑問が生じたのは事実、家庭的な面はどうだったのだろう。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-12-07 23:03:49) |
13.アパルトヘイト撤廃直後の南アフリカにおける人種的対立、緊張関係、そして和解を、どちらに寄ることもなく公平かつ真摯に描き出したイーストウッドさすがの横綱相撲で、とくにラストの決勝戦の迫力とスリリングさは凡百の監督では永遠に出せんであろうダイナミックさ。しかしイーストウッド特有の毒やブラックさがほとんど感じられず、近年の彼の監督作のなかではインパクトは薄め。よくも悪くも普通にいい映画やったって感じかな。 【幻の『モンスター』】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-12-18 16:47:37) |
12.マンデラかっこいいなー。彼にふりかかる多くの試練が彼の度量大きくして魅力を引き出しているんだなーっとおもった。 【ホットチョコレート】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-09-29 20:29:57) |
11.ここんとこ異人種間の摩擦をしばしばテーマにしてきた監督だから、南アを描くのは不思議でないし、孤軍奮闘する男の話という点でも間違いなくイーストウッド映画のはずなのだが、この質感のあまりの違いは何なんだろう。底にあるのは「スポ根もの」で、終盤、白人黒人のボディーガードが手を取って喜び合う「反撥→和解もの」定番カットがあったりすると、これじゃあまるでハリウッド映画じゃないか、とつい思ってしまい、そうだハリウッド映画だったんだ、と愕然とした。ゴミ拾いの少年と警官が勝利を喜びあうとこ。この少年の、パトカーからのラジオを聞かんがためにうろうろゆっくりゴミ拾いをしているあたりのおかしみ。おもしろいんだけど、でもイーストウッド映画だぜ、これ、とつい補注を付けながら見てしまう。なにしろ死人が出ない。いつもの悲痛さに収斂していくドラマじゃなく、こちらがオロオロしてしまうくらい素直で明るい。しかしその単純明朗を皮肉に冷笑する気分はちっとも生まれず、こちらも素直に観られたのは、題材が一番冷笑と無縁なスポーツだからか。根っからのイーストウッドファンには物足りなかったかもしれないが、私はこの楽しんでハリウッド定番をやってるような彼を、驚きながらもけっこう嬉しく見た。いいじゃない。政治の介入から独立したスポーツの輝き、でなく、政治の道具を自覚したスポーツの・それゆえの輝き、ってテーマも面白い。ヒゲのテレビキャスターがいい味。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-03-05 12:21:01) |
10.以前読んだ本に(BDの特典ドキュメンタリーの人の本かなぁ)イーストウッドは趣味の映画と商業的な映画を交互にとると言う話を読んだ気がする。 この映画は多分に商業的な方向性の強い映画であろう。すなおに何も考える必要もなく面白いと思えるからだ。 この順番で行くと今公開中のヒアアフターは間違いなく趣味の映画となるわけで、個人的にはイーストウッドの趣味全開の映画がとても好みである以上、明日は得意先に行くと言ってサボって見に行こうかと思う。 しかしマッド・ディモンが出る映画は「チーム☆アメリカ ワールドポリス」での「マァァッド・デェェモーン」が頭の中でリピートして集中できない。なんて破壊力のある人形劇だったのかと今更ながらに思ったのだった。 【クルイベル】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-02-23 01:10:13) |
9.マンデラ大統領のラグビーというスポーツを通して、分裂した国を一つにまとめると言う発想がすごいよね。 観るまで知らんかったが、クリント・イーストウッドが監督だったんだね。淡々としたシンプルな描き方はさすがですね。クリント・イーストウッド監督が得意とするメッセージ性は押さえ気味だったのは、実話だからだろうか。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-02-19 02:51:32) |
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8.黒人と白人を隔てていた壁がいとも簡単に崩れ去ってゆく。愛すべき予定調和を見せた『グラン・トリノ』の後でもさすがにこれには拍子抜けした。おそらく誰もこんな語り方はできない。なぜならそこに辿り着くには様々な障壁があり様々な苦労があり複雑なやりとりがあり複雑なからくりがあったに違いないから。何よりも前提となる南アフリカの歴史があるから。しかしイーストウッドはシンプルに語ってゆく。障壁が描かれなくても誰もそこに障壁がなかったとは思わない。苦労が描かれなくても誰もそこに苦労がなかったとは思わない。観客を信頼している証しとしてのシンプルさ。そして白人と黒人が手を取り合うことがさほど難しくないとでも言うように簡単に話は進む。実際に難しいことではないのかもしれない。それを行うことが難しいのであって。イーストウッドの描くマンデラはそれを適格にこなしてゆく。自分を虐げてきたものたちを許すということを。『グラン・トリノ』のレビューで私は書いた。過去の自身の作品の中で十字架をちらつかせながらの残虐行為を描いてきたイーストウッドはキリストが成し遂げたことを生身の人間で成し遂げさせることで自身の宗教観に対するひとつの答えを見せたと。ここでも同じことをしている。マンデラは計算する。どうすれば政治手腕を発揮できるか。どうすれば国が豊かになるか。その手段として「許す」という行為がある。そして「許す」を演出する。あえて白人の象徴のユニホームを着る。白人の護衛を信頼する。並大抵のことではないだろう。しかしそれは成された。やったのは人間だ。神話ではなく実話なのだ。娯楽であることを意識したこれ以上ないくらいのシンプルな語り口の中にもイーストウッドの印が確実にある。そこがたまらなく嬉しい。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-02-07 15:34:14) (良:4票) |
7.安心して観ることができる感動作。マンデラ大統領の寛大な心と政治指導力はすごいなあと感心しました。ちょっと綺麗にまとまり過ぎてる気もしますが、限られた時間内でテンポがよくストレスを感じません。誰にでも推薦できる作品です。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2011-01-10 16:38:57) |
6.実話がもとになっている映画は興味を引くエピソードに乏しく、途中で飽きてしまう事が多くなりがちです。 しかしこの映画はストーリーに無駄が無く良くまとまっているせいか、最後まで楽しく見ることができました。 テーマは黒人の人種差別で、見せ方が上手く素直に感動できました。黒人差別があった国の人が見ると、もっと違った感動があるのではないかと思います。 【アシュ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-01-02 01:52:16) (良:1票) |
5.王道。安心して観れた。ホルストの木星がずしりと響く。 【すたーちゃいるど】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-10-30 23:56:45) |
4.んー普段映画を観ない人でも誰にでもすんなり見られる無難な映画。でも私には物足りなかったです。 華やかさも鳥肌が立つような刺激もありません。学校の映画鑑賞会にもってこいの映画という感じです。 マット・デイモンのキャラがサエなかったのがかなりの不満かな、ジェイソン・ボーンを期待してたわけじゃないけど、もうちょっと「やっぱりスターだ!」みたいなのがほしかったです。 「こんな脚本があるんだけど、やってもらえない?」みたいな感じで監督したような印象です、イーストウッドの思い入れは感じなかったです、時期が時期だけに南アフリカをしっかりプロモートしたみたいですね。 無駄なものはなく、無難で大衆的な映画にささっと仕上げちゃうイーストウッドはやっぱりたのもしいです。 【envy】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-08-14 21:58:01) |
3.実話を無難に上手にまとめており、見応えもあって素直に感動しました。スポーツっていいもんですね! 【ギニュー】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-26 20:03:18) |
2.円熟したイーストウッドの手腕が遺憾なく発揮された偉作です。 【K】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-09 23:27:07) |
1.観る前から、安心してましたが、観終わった後、確信に変わりました。アバターを撮ったジェームズ・キャメロンも凄いと思いましたが、クリント・イーストウッドも負けてません。映像ではあちらに勝てませんが、ドラマとしての完成度は、はるかにこちらの方が上です。個人的にも、こちらが好きですね。 【Yoshi】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-09 12:44:11) |