3.計算された予定調和的な長回しほど撮影の裏舞台を想像させてしまい、説話にとっては妨げとなりがちである。
『ターミネーター4』でもそれが気取りにも見えかねない逆効果を生んでいたが、本作中盤でリース・ウィザースプーンが自室で音楽に合わせて踊り動き回る中、彼女の視界の外で部屋を物色するトム・ハーディ&クリス・パインの動きを組み入れた縦横無尽の移動長回しなどは、あえて作り手の段取り臭さを誇張したようなユーモアがある。
「荒唐無稽を真剣にやる」というドラマ内容と撮影スタイルが合致した相乗効果もあるだろう。
スタッフ・キャストの息の合った仕事ぶりを見せつけて心地いい。
そうした作り手の熱意を露呈させる長回しも、レンタルDVD店のシーンを始めとする様々な映画ネタも、一種のご愛敬。
それらの無邪気な作為性は明らかにシリアスパートの緊張感まで削いでいるのだが、それも狙いなのだろうから、アクションシーンの雑なカット割りに耐えつつひたすら予定調和を楽しむしかない。
対話劇のテンポ、特にヒロインの親友役:チェルシー・ハンドラーの話術は傑作である。