2.年間100万人ぐらい生まれて、30万人ぐらいが中絶で生まれてこない。全体の4%ぐらいは体外受精で生まれてくるし昔は試験管ベイビーという偏見もあった。そこには生む側の意思があり、生まれてくる・殺される側には意思はない。生まれた後は自死する人もいるし、突然事故死する人もいるし、生きようと思って病死する人もいる。そういうマクロな話を地方都市の日常に矮小化。ここに出てくる人々は生きる事に悩んではいるようだが、死ぬほどまで追い詰められてるわけでもないし、地方都市にありがちな退屈かつ窮屈な日常でもがき苦しんでいるようだ。原作は未読だが、どうやら短編集のようなので、時系列とか展開に違和感があり、見難い所があった。
総じて男がだらしなく、どうしようもなく描かれているのは著者の作風なんだろうが、まともな人も1名ぐらい入れてもよかったのではないだろうか。全体的なテーマとしては産む事・生まれる事、生きる事の意味を問うているのかもしれないが、さ迷える高校生の青春小説って感じでもないし、産む性としての女性問題とも言えなくもないし、映画としては中途半端な出来ではある。ただし、世の中のほとんどの人は変態・変人だし、不完全だし、それでもどうか生きている実態があるという社会の裏表を俯瞰できるという意味ではよくできているのかなとも思う。但し、皆が前向きに進んでいくのはハッピーエンドではあるけどちょっとデキスギで、逃げたりダメになっちゃう人も描いて欲しかったかな。田畑はラスト逃げたようにも思えたが。だってガンバルのは無理でしょう。どう考えても。