1.山と、それに挑む人間の挑戦をとらえた見応えのあるドキュメンタリーでした。
パタゴニアにそびえる難攻不落の峰、セロ・トーレ。標高は約3100mとのこと。
何だ、その程度の高さの山なら日本にもあるじゃないか、と思うことなかれ。
山というよりは、天に向かって垂直に鋭く伸びた、一本の草木も生えない険しく巨大な岩の塔といったところ。
しかもパタゴニア名物の強風が吹きつけ、岩に張り付いた雪と氷が行く手をさえぎり、時には濃い霧が視界をさえぎる。
「人間よ、できるものなら我を攻略してみよ」と山が下界を見下ろし語りかけているかのよう。
それを岩にボルトを打ち付ける等の策に頼らずフリークライミングで攻略するという、無謀とも思える挑戦を追う。
序盤はセロ・トーレとは何か。いかにこの岩の峰の登頂が困難であるか。そして過去にセロ・トーレに挑んだ人間のドラマが語られる。
中盤は関係者の回想や語りが多く、若干の間延び感はあるのですが、セロ・トーレを征服するという挑戦がいかに困難かを知るには十分。
撮影は空撮と挑戦者の体に固定されたカメラが頼りですが、それが実にいい臨場感をもたらせていました。