5.イタリアのとある街の小さなレストラン。客は10組程度だったでしょうか。作品はレストランを出る事はなく、一つ一つのテーブルと従業員の会話を丁寧に拾っていく群像劇。
よって作品全体のストーリーは特に存在しませんが、テーブルの数だけ存在する人間模様とドラマに実にいい味わいがあります。
ファニー・アルダン演じる店の女主人、常連客のヴィットリオ・ガスマン(素敵ですねえ・・・こんな風に1人で食事を楽しめる余裕がいいですね)、不倫カップルの大学教授と学生のジャンカルロ・ジャンニーニとマリー・ジランをはじめ、ビッグネームから名前も知らない俳優まで様々な顔触れですが、さもありなんと思えるキャスティングもいい。各テーブルのドラマのバランスもよく考えられています。
この平均点の通り万人受けする作品ではないのかも知れませんが、エットーレ・スコラの映画職人ぶりが随所に発揮されている佳作。やがて楽しい夜にも終わりが訪れ、閉店の時間となる。お客さんが満足そうに店を後にする姿がとても印象的でした。