1.ヴィスコンティを語るとき、「救いがない」とか「滅びの美学」なんて言葉を聞くが、初期の頃から「滅び」に関してはお好みの題材のようだ。「人間」を描くということは「滅び」を描くということなのでしょう。この作品では家族が崩壊していく。しかし、そこには「美」は無い。運命的に崩壊するでも劇的に崩壊するでもなく、普通に崩壊していく。ソレが怖い。その背景にはシチリアの持つ経済の矛盾があり、その状況もしっかりと描いているが、人間の弱さをことさらに描いているように感じる。出る杭は打たれるというか、今ある世界に順応してしまったら簡単には抜け出せないという「イジメ」問題にも共通する人間の弱さを。そしてこの作品は一つのシーンに余韻がたっぷりとある。もう映すべきところは終わっているのにしばらく映し続ける。ココにリアリズムを感じます。この作品が素晴らしいということについては全く異論はございませんし、あろうはずもありませんが、結果として平均点を下げてしまっている私をどうぞお許し下さい。↓のお二人のパーフェクトレビューの後はキツイっす。