1.うんうん、期待に違わず良い出来です。タイトルの如く”彼”をどう愛したって彼の心が変わる事は無く、何をしても無駄って事がよく現れてます。それが愚かな寓話として監督らしいブラックユーモアで展開します。ある中年男性の強烈な魅力に惹かれ同棲する事になった青年。物語はお互いの恋人を招いた事からますます抜け出せない蟻地獄にはまっていきます。「8人の女たち」でボーイッシュな次女役を好演していたリュディビエーヌ・サニエが爽やかながらも惜しみない脱ぎっぷりで主人公の恋人役を演じてます。主役の青年も物語が進むに従い魅力的で繊細な演技をしていました。ラストで行き場を失った女性(男性?)が窓ガラスを懸命に開けようとしますが全く動じない窓。多少とって付けた様でもありましたが、あの”彼”から逃れる事は出来ないという象徴的なシーンでずっしりとのしかかってきました。監督特有のグロいシーンは無く、綺麗な映像や欲しくなるような凝ったインテリア等「8人の女たち」と似てます。「まぼろし」も併せてオゾン初心者にはお勧めです。