7.89年の本作が本家版「座頭市」としてはラストになります。今見ても豪華キャストに驚きますが、他の方もおっしゃっているようにこの作品では群を抜いて勝新の貫禄が凄いことになっています。
ただし、勝新太郎ご本人が監督と主演をやっているせいでかなり荒削りな作品に仕上がっています。制作裏話なども広くTV放送されており、全く行き当たりばったりだった勝新の無能ぶりが広く知られています。突然樋口加奈子と風呂に入ったり、実の息子(雄大)が親分だったり、まあ、やりたい放題といった感じですが(笑)、このやりたい放題感が功を奏したのか、いかさま賭博、夜道のちょうちん、三木のり平との一件、僧侶との切り合い、用心棒(緒形拳)との一騎打ち、、とまあ、挙げればキリがないくらいメジャーなシーンのてんこ盛りとなっています。おそらく観客が観たいであろう有名なシーンのオンパレードで、まさに集大成とはコレのことです。実際私もこれが見たかった!といった印象を持ちましたし、不思議とラストには綺麗に収まっているのです。
あと、何気に勝新監督の映画ということで八州取締役(陣内孝則)、赤兵衛一家の親分(内田裕也)、浪人(緒形拳)などもかなり気合が入った演技を見せており、見どころの一つになっています。(鶴:片岡鶴太郎とのほのぼのしたやり取りもきちんと入っています)
エンディングで英語の歌が流れ始めた時には正直腰が抜けましたが、、リマスターDVDは大切に保存しております。作品としては6点程度ですが勝新の心意気に+1点です。余談ですが海外ではブルーレイ化されていますが日本国内ではブルーレイ化されておらず、利権の闇に飲み込まれている不運な作品。