3.題名から日常を様式美化した小津風味の作品かと想像したら、とんでもなくて、出てくるのは癖のある人物ばかり。それでもホームドラマに見える理由は「家」の印象が強いからだろう。ホームドラマの主役はほかでもない「家」だと確認した。山崎努が斉藤由貴に言う「この家でまともなのはあんただけ、あいつにはもったいない」このセリフといい、間の取り方といい絶妙。確かに夫の佐藤浩市は苦しい家庭環境で育った反面教師か、ある種の会社信仰を持つ体裁屋。会社員と父親の喧嘩を仲裁するときにとっさに出る言葉が「あなた会社クビになっちゃうよ」。
サラリーマンは背広を着たばくち打ちと暗示し、山崎努の他人からどう思われようが気にしない気持ちよさとか、説明が多過ぎる最近のドラマとは対照的に豊富な行間が味わえる作品。