2.もっぱら評判の高いこの作品。いや、だまされんぞ。アイドル映画なのにちゃんと撮っているってぐらいじゃ。と、変な気合を入れて観たのだが、まず夕暮れ時の薄暗い空をバックにほのかな逆光で映される二人の描写という美しい画が飛び込んでくる。まあ、こうゆう画が一つや二つ無いとお話にならんでしょ、とか思っていたのだが、一つや二つじゃない。引いた位置から捉えた画が何度も挿入され、それらはことごとく美しく、もちろん単に情景が美しいだけではなく、ちゃんとそこに二人がいて、その二人は必ずといっていいほどに背景にあった逆光を浴びている。松田聖子は木下版のヒロイン以上にヘタクソなのだが、木下版もそうだったが、そのヘタクソさの中に純朴さがにじみ出てるような錯覚を覚える。アイドル映画とは思えないあの“おでこ”もこの純朴さに一役買っている。白を効果的に使っているという↓レビューに大いに納得しながらも、私はりんどうの紫がその色の鮮やかさとともに鮮烈に刻み込まれました。カラーであることがなんの優位性も見出せない映画が多々あるなかで、見事にカラーの優位性を見せ付けている。