1.某シネコンで「映画、だけじゃない」とか言ってるように、昨今では映画館でコンサートのライブ中継とか、プロレス中継とか、いろいろやってますけれど、本作の発想もきっと同じようなもんなんでしょう。ナマのサーカスをなかなか見る機会のない人たちは、この映画で楽しんでね、と。
ということで、一応、四角関係的なストーリーはあるものの、作品の見どころは、際限なく続くサーカスの演目シーン。ここまでやると、さすが見応えがあります。さらには、俳優たち自身が(チャールトン・ヘストンを除く)体を張っているのも見どころ。圧巻のサーカスシーンをボケーっと観てると、やっぱり客席でボケーっと観てる観客の姿が映し出されて、ふと我に返る、という寸法。
終盤は、「地上最大のショウ」というだけあって、なかなかショウ撃的な事件が勃発しますが(なんのこっちゃ)、これをきっかけにオハナシを一気にかつ強引に纏めきり、「ロクにストーリーらしいものなどなかった」というのをすっかり忘れさせてくれるのは、なかなかの手腕と言えましょう。
映画の中には、サーカスの団員たちが「帰宅する」シーンなどというものはなくって、まさにサーカスが我が家、興行から興行へと、巡業列車に乗って旅を続ける日々。で、人生ツラいことが多いけど、サーカスで夢のひと時を、と、サーカス愛を謳い上げる。セシル・B・デミル調の派手な作品ではあるんですが、一方でこの素朴過ぎるほどの素朴さが、本作の魅力になってます。