2.船越英二が“キチガイめくら”に成りきっているのがまず素晴らしい。
触覚だけが異常に発達した船越英二は、理想の体と肌を持つ女性を見つけ出し、自室のアトリエに監禁することに成功し、日夜からだを触りまくる。
そしてついにはその女を犯してしまう。
なんという偏執的でエロティックな設定なんだろう。
やっぱり、こういう設定を考え出した江戸川乱歩という人は偉大だ。
偉大すぎる。
しかし、その乱歩が描き出す世界は極めて小説的であり、それを映像化することは困難である。
本作がその困難さを乗り越えたかといえば、やや疑問。
やはり、乱歩が創りだした倒錯の世界は、小説の中だからこそ生きるのではなかろうか。