2.ソフィア・コッポラのベスト。「ヴァージン・スーサイズ」の頃の甘ったるい冗長さが洗練され、上品な甘みへと進化を遂げている。間の取り方や動きそのものを見せる画にこだわったシーンや、美しさには魅了される。この起伏のなさに、我々は劇的なドラマ(これは皮肉な同語反復だが)を普段望みすぎているのかもしれない、と気付かされる。本当にストーリーに起伏はなかったのだろうか? そんなはずはない。我々は劇的な劇を、二重のドラマを欲するあまり、何気ない感情の動きや機微に鈍感になっているだけではないか。映画は何を映し、我々は何を観るのか、を再考させられるような一本だった。