18.美と死をうまく対比している名作だと思います。ヴェニスだから成立する物語ですね。主人公は同性愛者ではなく、家族と仕事を失った状況で絶望的になっていた時に美しいものに遭遇し精神的に惹かれていった普通の男性ですね。美しい映像と音楽、最低限のセリフで、じっくりと堪能しました。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2022-09-26 01:58:12) |
17.トーマス・マンが自らの体験を小説として書きとめ、ヴィスコンティが映像とした「ベニスに死す」は、ドイツ文学とイタリア映画融合の妙味。 マンは主人公アッシェンバッハにマーラーの風貌と自分の生業を与えたが、ヴィスコンティは彼をマーラーを模した作曲家とし、アダージョを流す。 ナルキッソスの化身のような少年タージオを憑かれたように見つめるアッシェンバッハの眼差しは、作家とバイセクシャルの監督のものでもあるか。 マンが主人公にほどこした化粧をヴィスコンティが黒い汗と涙に転化させることにより、美に取り込まれたアッシェンバッハの醜怪さを際立たせる手法は残酷というほかないが、それを受けて水に戯れるタージオの輝きはいや増す相対性。 当人の思いの純度に反して、崇拝というものが傍(はた)から見れば至極滑稽なものであることを冷徹に示したヴィスコンティは、自らの美青年嗜好をも秘かに顧みていたのではあるまいか。 ダーク・ボガートは「愛の嵐」同様異常な愛に殉じる男、ビョルン・アンドレセンは自分が美しいことを知っていて、崇拝者を振り捨てもせず緩慢な死へ追いやる少年に扮してはまり役。 自分が死ぬことも知らず、タージオの幻影に追いすがりつつアッシェンバッハの意識は薄れてゆく。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-10 06:59:58) |
16.老主人公をみているとなんだかはずかしくなった。 【ホットチョコレート】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-01 18:07:06) |
15.いや本当によく見つけたよな、こんな美少年。この映画は基本的に芸術・哲学作品ですが、芸術・哲学だけだと観る人を選ぶわけです。私はあまり芸術のわかる人間ではないし、一歩違えればただ退屈してたと思うけど、アンドレセンの美しさで物語に説得性が出るし、「映画」には不可欠な「娯楽」面を備えたといっても過言ではない。加えて、マーラーのアダージェットとベニスの街並みの美しさ。こんなに「お耽美」にはまらせてくれる映画も滅多にないですね。でもこれは、その対極の「醜」「老」「病」が絶妙に描かれているからだとも思う。もっと老いてからもう一度観てみたら、より深みが解るかも。今でも高得点つけれますが。 【あっかっか】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-01-20 13:44:14) |
14.美しい映画だった。「美」という追い求めてきたものに、人生の最後に己自信は全てを否定され、醜くなってから出逢う。そして、かつて自分も「美」を持っていた。僕には挿入されていたグスタフとその妻、娘が3人で過ごしているシーンは美しいものに見えてしかたがなかった。グスタフはかつて自分が持っていて、そして失っていたことに初めて気付いたんではなかろうか。だからこそ、タジオにあれほど魅かれたのではないか?マーラーの音楽とビスコンティの映像に魅せられました。それにしても、この映画が分かる気がするのは、僕ももう老いてるのか?まだ、20代なんだけど。 【思込百遍】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-04-30 05:36:42) |
13.物語の大筋を一言で言い表せる映画というのはそれほど多くないが、本作はまさにそれ。「オッサンが美少年を見つめる話」。こんなに長いのにただそれだけで、こんなに台詞の少ない映画も珍しい。私は男性だが、ここまで見せつけられると「オレもこの子好きかも」なんて錯覚しかけるほど。その力がすごいし、映像も音楽も美しい。 【えいざっく】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-03-14 17:01:10) |
12.ストーリー重視というよりは雰囲気やムードに力をいれている。アート的で、気に入った絵を我を忘れて眺めている感じだった。前半がすごくいい。異性に限らずグスタフの「なんか気になるな」という興味心がすごくわかる。だからグスタフの心情にも感情移入できた。あのままエスカレートせずに、「さらばタジオ。短い出会いだった」「神のご加護を」とグスタフが言い、船に乗っている所で終われば最高だった。その先は行き過ぎた感じで、わからなくもないけど眠くなった。これは感覚を楽しむ映画だと思う。 【Syuhei】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-17 15:49:58) |
11.ぜひ最後まで観て欲しい映画です。まあ……、どんな映画もそうなんですけど。途中はね、「これは…駄目じゃね?」って思ってたんです。でも、あのジジイがああしてこうして~……。うん、長丁場ですけど、最後までご覧になってください。美しいものが好きな人は必見ですよ。なんというか「ダブルで美しい」みたいな 【ようすけ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-15 00:44:25) |
10.ダーク・ボガードのビョルン・アンドレセンを見つめる時のあの目の輝きといったら忘れられない。思わず観ているこちらが目を逸らしたくなってしまう。美しい映像に美しい音楽、もうただそれだけで良いんじゃないでしょうかね(ビデオの画質は大分悪かったけど)。それから最後の汗は化粧ではないでしょうか? 【かんたーた】さん 8点(2004-12-04 19:22:38) |
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9.主人公のキャラクターは、自分からは遠いが、全く共感できないかというとそうでもない。この映画の成否は、タッジオが初めて登場したときに美しいと思えるかどうかで決まる。私には美しい少年に思えた、というか、はじめは美少女かと間違えたくらいだったので、そのまま主人公にすんなりと感情移入できた。ベニス駅にきっちり荷物が着いていたらグスタフはそのままミュンヘンに帰っていたのだろうから、運命の偶然とは恐ろしい。 |
8.ラストのソフトフォーカスはややあざとい。ズームアップの多用も無粋に思えます。素晴らしい作品ではありますが。 【藤村】さん 8点(2004-03-11 04:04:46) |
7.台詞ではなく、とにかく行動によって人物を描く。映像作品のなんたるかを見事に体現してくれた作品です。確かにエンタテインメント性はゼロに近いですが、私は好きです。 【K】さん 8点(2004-02-06 23:30:33) |
6.タッジオ少年の輝く美貌に、ただただ魂を奪われる映画。この映像に余計な言葉などいらない。手の届かないものを切望してうろつきまわる、哀しく愚かで醜悪な主人公の心情が、なんとなく分かってしまうだけに、観ていて精神的にはキツイものがある。本当に残酷な映画という気がする。年取ってきて、さらに主人公の心情に近づいてしまったなぁ。 |
5.努力のみでは手に入れる事が出来ない「美」。それを否定する男の目の前に現れた美の象徴のような、美少年タジオ。それを2時間にわたり描ききったルキノ・ビスコンティ には恐れ入る。共感しづらい展開のため、客観的に芸術を楽しむといった趣だが、美しい音楽と見事なラスト、名作の名に恥じない作品だ。ただ、ルキノ・ビスコンティの最高傑作とまでは至っていない。 【ゆたKING】さん 8点(2003-04-13 16:42:29) |
4.あの男の子、意地悪いですよね。これみよがしな挑発、ちょっとした色目…、うぅ、強烈でした。とにかく。スゴイ映画です。 |
3.主人公が気難しいせいか、こんなに会話の少ない映画は久しぶりだった。フランス映画に多い自問自答の手法も少なく、とにかく映像に集中させる上手い作り方だ。このオヤジはホモなのか?(別にホモでもいいが)という疑惑を紛らわすカットは監督の観客に対するフォローだろう。観客の想像力を巧みに刺激し全体的にはソフトな印象に与えている、ヴィスコンティの才能を再認識した。 【眼力王】さん 8点(2002-01-22 03:26:02) |
2.あまりにも純な愛を描いた作品だと思います。けして結ばれないと分かっていても、あの少年の心の中に片隅でもいいから自分を置いてほしいというのが伝わった映画です。 【四次元大介】さん 8点(2001-10-06 14:41:39) |
1.主人公を見ていて可哀相になってくるのは私だけではないはず。ずっと心を奪われたままで・・・。 【アトリエ】さん 8点(2001-01-13 06:06:13) |