2.これは意地が悪い。異色。徹底的に、行間を読め!という作品。
はっきりしない映画が嫌いな人にはおすすめできない。
オープニングから時系列がグチャグチャで、断片的なシーンだけが映しだされ、混乱させられる。
「何か大変なことが起こる」ということだけを明示し、主人公の息子ケヴィンの幼少期に話は遡る。
エヴァが出てこないシーンはほとんどなく、エヴァがみたもの以外は描かれない。そのため、ケヴィンが母親のいないところでどのような行動をとったのかが分からないようになっている。いったい、何なの?というモヤモヤと倦怠感、不安感、得体のしれない恐怖感をエヴァと一緒に体感できるという、非常にいやらしくも巧みな演出である。
それだけに、エヴァさんの心の変化すら描く事をすっとばしたかのようなラストは、ちょっと納得いかなくもある。
悪夢のような演出には不快感をおぼえながらも魅了されてしまったし、考えれば考えるほど傑作だったような気もしてくる不思議な映画。