1.『アウトレイジ』の主要な顔でもある黒塗りの車体と、
北野映画の「海」とが組み合わさるタイトルバックから一気に惹き込まれる。
前作にも引けをとらない俳優陣の面構えの強さと、
暗闇に浮かび上がるブルーがかった街路と黒塗り車の光沢の艶。
舞い上がる土埃。そして暗転した画面に響く銃声もまたフェティッシュな感覚を纏う。
今回はどのように煙草を使うかと見ていれば、
「煙草は止めた」との台詞で主人公の変化を提示し、
新井浩文・桐谷健太二人の遺影の前に置かれた二箱の煙草のショット一つによって、
乾いたドラマの中にさりげなく情緒を潜ませるあたりが熟練である。
ほとんど顔を見せない高橋克典の身のこなしも凄みがあり、いい。
映画の締め方にも痺れる。