1.ロードショーも終り頃だったせいなのか、それとも最初からの上映規模がそうであったのか、神戸の映画館で観た時は、小さな劇場1館のみの上映であった。
ガラガラに空いていたが客席数自体も少なく、スクリーンもさほど大きくなく、音響設備も大したものではなく、確かドルビーステレオくらいのものではなかっただろうか。とにかくスクリーンサイズと音響設備はかなり低レベルで、後で自宅の5.1CH、DVDで鑑賞した時の方が、音の良さは格段良かったのを記憶している。
さて、本作、非常に細かい点までの作り込みと本格思考のセリフ回しに気がついた。
子供でも充分楽しめる本作ではあれど、台詞面では小さな子供達には意味不明な点もありそうだ。しかし、本筋を追う上では、細かい部分への理解不足が支障を招くようなことは全く無く、大筋の面でとてもシンプルな作り込みがされているため、小さな子供達にとっても充分楽しめるようになっている。その上で大人は大人でその台詞を理解し話しを追えるという二重構造になっている点が好感が持てる。
榊家当主に藤岡弘を起用している点は、ある世代の大人へのサービスではないだろうか。
彼の武道家としての腕前は言うまでもないが、「仮面ライダー」という一時代を築いた往年の偉大なるヒーロー像と、本作が大映の妖怪映画へのオマージュを内包するお化け映画である点とは別に、勧善懲悪とヒロイズムが根底に流れるアクション活劇という点から、その世代の大人達には間違い無くカタルシスを与えられるのではないかと思われる。
そしてその世代の大人と言うのが、これを観て充分楽しむことのできる年齢の子供達を持った親の世代、つまり、劇場に子供達を連れてやってくる親達なのである。