1.IMAX3Dにて鑑賞。『アベンジャーズ』という特盛大サービスで観客の目が肥えてしまった後に、平常営業の単品作品をどんな形で出してくるのかという点に大きな感心があったのですが、その点、本作は映画としての完成度を高めるという地道な方法でシリーズを再開しており、大変好感が持てました。シリーズの功労者であるジョン・ファブローに代わり、質の高い娯楽作を多く手がけてきたシェーン・ブラックを新監督に抜擢した辺りに、製作陣の思惑が現れています。。。
本作の前半パートは驚くほど静かです。『アイアンマン』の新作とは思えないほど雰囲気が暗く、トニーからは前作までの破天荒さが消え失せています。『アベンジャーズ』で死にかけた経験から心を患い、ブルース・ウェイン並みにウジウジと悩む描写が続きます。おまけに、アーマーで敵を倒すという爽快な見せ場がまったくなく、アイアンマンの活躍を期待してきた観客にとっては拷問に近い時間が続きます。もちろんこれは監督の計算のうちであり、『アベンジャーズ』でパワーのインフレを目の当たりにした観客の意識を落ち着けるために、意図的にダイナミックな描写を避けているのです。。。
以上の通り、前半部分ではテンション下がりまくるのですが、その分は後半で一気に取り戻します。トニーが再びアイアンマンとして戦う場面の爽快感はシリーズ最高レベル。前半部分でチマチマと設定やドラマを作り込んできたことの成果が、ここで一気に披露されます。また、見せ場の素晴らしさにも目を見張りました。パワーのインフレを抑制するために生身の人間による格闘とアーマーによる戦闘が組み合わされているのですが、このバランス感覚が絶妙なのです。さらには、35体のアーマーが救援に駆けつけるタイミングも完璧なものだったし、壮絶な戦闘の合間に挿入されるユーモアも作品の質を向上させています。ここにきて、シェーン・ブラックの力量が炸裂しまくりなのです。。。
ヴィランに実力派俳優をキャスティングすることが本シリーズの特色ですが、本作ではガイ・ピアースとベン・キングスレイという最強のタッグが作品を大いに盛り上げています。特に、原作コミックでは最強の敵として名を馳せているマンダリン役を演じるベン・キングスレイの怪演には、目を見張るものがありました。ある意味、ヒース・レジャーのジョーカーをも超えてますよ。