1.ドイツとの合作ではあるのですが、初めて見たサウジアラビアの映画。
今でも女性の人権がイスラムの戒律の元に著しく制限されているこの国にあって、
サウジアラビアの女性監督がサウジアラビアに生きる女性たちを主人公とした女性映画です。
本作が製作された2012年のロンドンオリンピック。
それまでのオリンピックでは男性の選手しか派遣してこなかったこの国が、
初めて女性の選手をオリンピックに派遣したことがニュースとなりました。
そしてこの国の初の女性映画監督によって女性にスポットを当てた映画が撮られました。
少しずつではありますが、サウジアラビアの社会にも変化が起きようとしているのでしょう。
自転車で街を行く少女の力強い姿と、
車がひっきりなしに行き交う幹線道路を前に自転車を漕ぐ足を止めるラストの姿が印象的です。
未来への確かな希望を感じさせつつも、そのゆく手にはまだまだ多くの障害があるであろうことも感じさせます。
サウジアラビアには映画館が無いという。サウジアラビアの人々が本作を見る機会は無いのかもしれませんが、
主人公の少女を通して世界の人々にサウジアラビアの今とこれからを見ていて欲しい。監督のそんな思いを感じました。