5.この映画はアクションでもサスペンスでもなく、こってこてのバイオレンスなんですよ。アクション映画のボリュームとも、サスペンス映画の「ほ~」とも違う、苦みばしったバイオレンスの風味を感じる映画だと思います。無駄にややこしい話が感情に歯止めをかけてアクションを盛り上げない上に、その話すら尻切れとんぼで完結せずサスペンスとしても成立していない。この映画をアクション、もしくはサスペンスとして見れば、アラだらけで中途半端な作品と感じられます。が、この映画の脚本には見逃せないほど素晴らしい部分がいくつかあるため、そういった手落ちと感じられる部分すら、もしかしたら監督の計算づくではないかと思います。必要以上に登場人物に感情移入させてはそこいらのアクション映画と同じになってしまう。だからこそ話をややこしくしてあえて盛り上げることを抑制し、このクールな苦味を味わって欲しかったのではないかと。この映画の素晴らしい部分とは、まず第一に銃撃戦へのこだわり。誘拐シーンのじりじりとしたあの緊張感は、撃ちまくるだけのアクション映画とは完全に一線を画します。走って逃げるとか、勢いで振り切るといういい加減なことはせず、ゆっくりと進み、時に立ち止まって常に追っ手を牽制しながら、徐々に間を空けていくという前代未聞の逃走劇です。他の映画ではまったく見られない奇妙な構図なのですが、「実際に銃撃をやればこんな感じになるのかな」と妙に納得させられます。クライマックスの大銃撃戦もただひたすらかっこいいだけではなく、マガジンをきちんと交換していたり、銃を撃つときの反動が見る側にも伝わってきたり、弾が当たった時は痛そうだったりと、とにかく描写が細かくてよく考えられてるんですね。そこいらのアクションとは別物を作ろうとしていたことが伺えます。そしてもうひとつの素晴らしいところはおじさんたちのかっこよさ。ジェームズ・カーンの「老いぼれを見たら修羅場を生き延びたと思え」の名セリフが示すように、おじさん達がやたらかっこいいんですね。ハゲ散らかして腹の出たおじさん達がとにかくプロフェッショナルで、そこいらの映画のヒーローとはまったく違うかっこよさが新鮮でした。この2点により、この作品は誰でもわかる派手な映画ではなく、玄人がじっと見てこの風情を味わう映画を目指したのではと私は思います。もっと評価されてもいい作品ではないでしょうかね。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-06-08 00:11:55) (良:3票) |
4.案の定、惨々たる評価ですね(笑)もっち~さんの意見に概ね同意です。予告編を観て、「計画は完璧なはずだった」というコピーにシビれ、ベニチオ・デル・トロとジュリエット・ルイスというキャスティングにシビれてハナっからメロメロ状態で劇場に足を運んだわりには、生来の素直な性格が幸いしてか、あっという間に「これはどうやらチープなバイオレンスアクションコメディらしい」と頭を切り替え、一度二丁拳銃でカッコよくキメるデル・トロが観てみたいぞ。という願望は叶えられたのでけっこうゴキゲンで帰って来たのを覚えています。微妙におもしろつまんない映画ですが、ライアン・フィリップが最後までイマイチ信用できなかったことが自分にとっては適度なサスペンスになりました。それにしてもあそこまで出たとこ勝負というか、無計画きわまる「誘拐」に、どういう経緯でああいうコピーがついちゃったのか、これはもう映画史に残るナゾだと思います。完璧な計画だったら、大富豪の身辺ぐらい調べておけって。邦題が「無計画犯」とかだったら、もうちょっと大勢の人が幸せになれたんじゃないでしょうか。「なぁ~にが『緻密な心理戦』じゃいっ」と頭をかきむしるか、「思ってたのと違う映画だなぁ~」と素直に頭を切り替えるか、対応の違いで評価に差が出る作品だと思います。笑いに入るとけっこう楽しいですよ。 【anemone】さん 8点(2003-12-14 02:20:18) |
3.「誘拐犯」のCMを見ると、「計画は完璧なはずだった・・・。」って言ってます。しかも、「ユージュアル・サスペクツ」のクリストファー・マックァリー脚本&ベニチオ・デルトロ主演、とも言ってるのでこのCMを見ると「絶対サスペンスだ!」って誰だって思っちゃうのは当たり前。僕も最初そう思いました。映画を見てビックリ。サスペンスじゃないじゃん!でも、後になって考えてみると、この映画は「誘拐」をテーマにしたサスペンスではなく、「誘拐」というのは単に人と人が銃で争い合う状況を生み出すための設定でしか無かったんですよ。だって、本編を見れば分かるとおりで誘拐に計画性なんて微塵も無いし、何より原題をよく見てください。「The Way of The Gun(銃の使い方)」なんですもの。しかし、この映画を担当した日本の配給会社の社員はこの映画の本質を見抜けなかったんでしょうね。どう見てもサスペンスでは無いのは明らかなのに、C・マッカクァリー脚本でB・デルトロ主演というだけで「ユージュアル・サスペクツ」に続くサスペンスだと思い込んでしまったようです。その結果、付けた邦題は「誘拐犯」で、宣伝文句は「計画は完璧なはずだった」。映画の内容とはこれっぽっちも合っていないんだから、CMに触発されてユージュアル・サスペクツのようなサスペンスを期待した人が面白いと思えるはずがありません。だからサスペンスという前提でこの映画を見た人にとっては正当な評価を下すのが本当に難しい映画なんだと思います。一回見た人は頭をリセットしてもう一度見て見て、そしてこの映画を今一度判断して欲しいです。それでもおもしろくなかったら、ゴメンなさい。 【もっち~(←にょろ)】さん 8点(2003-12-01 14:53:01) (良:2票)(笑:1票) |
2.《微妙にネタバレ有り》感想は普通に面白かった。ユージュアルサスペクツとは別物かな?バイオレンス(銃撃戦)が入ってたし。ダマしたれって部分もないし。でもうまく言えないけど「この部分はなぜこうなのかは自分たちで考えてくれ」的なとこは似てると思った。例えば最後の場面で僕が友達に「あのふたり死ぬとは思わんかったわ。」と言うと友達が「えっ、死んでないんちゃう?」と言った。確かに打たれた後あれだけ喋ってれば生きてたと考えても不思議じゃないような気がする。やっぱクリストファーはすごい!と思った。監督としてもやっていけそう。次の作品も期待したい。その前に誘拐犯がDVDで出たら買って見とこかな。(笑) 【hiro】さん 8点(2001-06-17 21:26:03) |
1.音楽の使い方とか、カメラワークとかが「ユージュアル・サスペクツ」に似てる感じがする。しかし同じ女性として見るに耐えないシーンも多かったなあ・・・。 【ひよこ】さん 8点(2001-06-07 00:20:36) |