1.才能がなく、夢に破れた男が、まだあきらめきれず、必死にもがく姿は共感できるし、痛いほどわかる。
しかしだ、他人に迷惑をかけるのは駄目だろう。
そんな一般常識からかけ離れた主人公をどう見るか?によって評価は変わってくるだろう。
まず思ったのが、この主人公の男、テンションが異様に高い。いや、高すぎる!
何回「フォォーー!!」を叫ぶのか。こんなの「地獄でなぜ悪い」の長谷川博己以来である。長谷川は映画バカの役だったが、この映画の主人公は芸術バカである。段々狂って行くところなどは共通している。演じた戸次は、全然イメージと違って凄く良い演技だった。
それにしてもこの男は何を作っていたのか?私の嫌いな「見せない技法」が炸裂。見せない事で観客に想像させる狙いだろうが、そんなの知らない、私は見たい!小説じゃないんだからそこは映像で見せる義務があると思うんだ。
もう一つ書いておきたいのは、私の地元がロケ地であるという事だ。街のシンボルともいうべき「旭橋」は幾度となくスクリーンに登場し、昼や夜や様々な場面で存在感を放っていた。そこはかなり満足だった。撮影に使われたラーメン屋にも実際に行ったりもした。あと、男が弁当屋で海苔メンチカツを買ってベンチで食べるシーンがあるが、あそこの海苔メンチは最高に美味いのだ。だからどうしたと言われるかもしれないが、どうしてもそういう理由で点が甘くなってしまうのでお許し頂きたい。映画自体の点数は7点だが、地元ボーナスで1点プラスして8点献上!