2.モノクロの画面。レニーの関係者へのインタビューという擬似ドキュメンタリー形式で、間にエピソードを挟んだドラマ作りがいま見ても新鮮。レニーの妻を演じたのは「スーパーマン」で悪玉レックスルーサーの情婦ミスティッシュマーカーを演じた人だけど、この映画で、こんなに巧い人だったのかと驚いた。ただどこまでも堕ちていくスタンダップコメディアンの人生に、勝手なロマンチシズムを押し付けてるような気がしないでもない。それとキツイ言い方だが、レニーブルースは芸人としては平凡だったのかもしれない。芸人というものは、捕まっちゃいけない。捕まらないで権威や権力を、からかい、キリキリ舞いさせてこその芸人だと思う。だから、平凡な芸人が、たまたま「時代」と寝たために起きた悲劇かもしれない。でも、彼の漫談を聞いてると「言葉って何だろうな」と真面目に考えたくなる。力作にして秀作。