2.反骨の巨匠、ケン・ローチの最新作。
もう80歳をゆうに超えている。映画監督からの引退を宣言したこともあった。
60年代からの長いキャリアの中で一貫して描き続けてきた労働者階級の人々の暮らしとそこのある社会の歪みや理不尽。
雇い主からは都合のいい時だけ「個人事業主」を持ち出され、働くほどに搾取されていくイギリスの宅配ドライバーの厳しい現実。
引退などしていられない。黙っていられるか!本作もそんなケン・ローチの衰えることの無い反骨心が垣間見える作品です。
中盤に一度は崩壊しかけた家族ですが、反抗期の息子が本気で父を心配し、仕事に行かせまいとする。
現実の厳しさの一方で、それでも再び絆を取り戻そうとする家族の姿に庶民の強さを感じさせる。
ケン・ローチらしさが感じられるラストでした。