1.「ミーン・ストリート」と共に大好きなスコセッシの映画。何だかものすごく一生懸命作ってある。スコセッシ映画は後年の銃をぶっ放す映画もいいが、こういう私的な、チンピラの映画ももっと観てみたい。主人公の宗教的な下地や「許し」へ向かう心の葛藤には、ピンと来るときも来ないときもあったが、全体を通して青二才な主人公の姿には、妙に心打たれる。チンピラなのに不思議と粗野に見えない(しかも若い)ハーヴェイカイテルの裏に、才気走った青二才監督の姿が見え隠れする気がする。そんなもん見えなくていいのだと言う人が冷静に観たら、ポップでスタイリッシュなこの映画の映像もお寒く感じられるのかも知れないな、などと落ち着いてみようとするんだけど、やはり一生懸命なこの映画、僕には冷静に観られない。主人公にも監督にも、すごーくシンパシーを感じてしまう。ベルノーツの"I've had it" にのせたデートのシーンなんか、観るたび切なくなる。