2.久しぶりのヒッチコック作品の鑑賞!でもって、やはり上手い。冒頭から正にヒッチコックらしい、モノクロの映像のセンスが漂っていて自然と作品に釘付けとなる。あの斜めからの角度による教会の映し方、下から斜めからとそのアングルによる撮影により緊張感というものが効果を得ているところなど流石はヒッチコック!映像の魔術師と言われるだけのことはあります。あの不安定な建物がモノクロの映像と共に忍び寄る恐さ、教会の中での会話の場面と外の風景とを交互に素早いカット割りで映すことで生まれる心理的恐さ、教会の上に流れるあの雲などただそれでけで恐い。そして、この映画では主人公、殺人の罪をかぶせられる男を演じているモンゴメリー・クリフトの表情から感じられる苦しみ、怯える姿などは正しくこの俳優ならではのものを感じることが出来る。「陽のあたる場所」で見せた何かに怯えているような表情こそこの俳優の持ち味ではないかとここでもまたそんな素晴らしい演技が見られる。サスペンス映画として見たら確かに少し弱い部分がなくもないが、人間の心理というものを捉えた一つの作品として観ると凄く面白い。やはりヒッチコックの作り出す世界は私は好きだ。これも私にとっては満足のいく仕上がりになってます。