8.これまでの安定感ある小津作品と違い、峻烈な印象を与えてくれる異色作。
ある港町を舞台にお話が展開する本作は、夏の風物詩がたっぷりと表現されており、
一座ののぼり、ポスター、花、調度などの鮮やかな色がワンポイントで画面に入ってきて、
映像がとても美しい。撮影技術が秀でているのか、目を惹く構図が多くて面白かった。
登場人物が多いにもかかわらず、主要人物や脇役に均等に出番があってバランスが取れており、
キャスティングも言うことなし。若尾文子と京マチ子の美しさには、溜め息が出るばかりだった。
しょーもない主人公のおやっさんの、侘しさや寂しさもそれなりに伝わってきます。
このあたりは小津監督の真骨頂かな。お薦め作品。