4.ディズニーがひたすら縮小再生産しているのに対し、ジブリはあえて困難な企画で実験作品を手がける。この心意気を買いたい。冒頭の、イメージが次々と横滑りしていく感覚は見事だし(ボブスレーからウェディングケーキに至ったり、街を練っていくカタツムリとか)、エピソードによって画質を変えたりしている(暴走族のときは粗く)。夫婦のチャンネル争いや、遅く帰ってきてバナナをボソボソと食べるあたりの「演技」も的確、アニメにおける人物の演技がこれほど丁寧に為されるのは珍しい。ただ、一本の作品としてのウネリは当然ないわけで、そのぶん印象は希薄になるが、あくまで実験映画と思えば、健闘していたのではないだろうか。