1.フィルムを待っているそのけだるい時間そのものを楽しめばいいのかもしれないし(映画撮影チームの話なの)、不意に飛び込んでくる松の根っこや、夜の荒れた海なんかとてもいいんだけど、でもとうとう映画の中の時間に溶け込めないで終わってしまった。物語を語ると生命がなくなってしまう種類の映画なんだろうが、でもそれなら物語の代わりになるものがあるのかってこと。はたして後半は映画で表現することだったのだろうか。言葉の「意味」と音楽の「無意味」の間にある、映画という芸術の難しいところだ。パンする画面と一緒に左へ去っていくタイトルと、びっくりするぐらい低空で下りてくる飛行機が、印象に残った。