7.想像以上に“可愛らしい映画”だった。
もっと単純に「オタク魂」に突っ走っただけの映画だと思っていたが、主人公のへなちょこ野郎の恋模様と、彼を取り巻く友人たちの人間模様が、とてもファニーに映し出されていて、それだけで充分に愛着を持てた。
“憧れの君”は、決して美人ではないけれど、主人公が問答無用に惹かれる魅力は醸し出されていたし、三角関係となる中国系女子高生の彼女もキュートだった。
また、主人公のルームメイトのゲイを演じたキーラン・カルキンが素晴らしく良かった。風貌から溢れる絶妙な“澱み”が抜群だった。実兄の近況も気になるところだが、今後役に恵まれれば良い性格俳優になっていくような気がする。
この映画には真っ当な美男美女は登場しないけれど、そういった一人一人のキャラクターの印象度の高さが、最大の魅力だったのかもしれない。
“売り”であるテレビゲーム感を存分に踏襲したバトルシーンは、やはり楽しい。
特に、"邪悪な元カレ”第一号のインド人の登場シーンのインパクトが良かった。
歌って踊るインド映画の世界観をしっかりと組み込み、この映画に相応しいテンションを与えていると思う。
残念なのは、そのバトルシーンが徐々に尻つぼみ気味になってしまうこと。
7人の元カレキャラはそれぞれ良い存在感を醸し出してはいるのだが、一人目のインド人キャラの“濃さ”を越えられなかった印象が残った。
ストーリー展開についても、同様のバトルシーンが羅列するだけと言えばそれだけの話なので、110分超えの尺は長過ぎたと思う。90分以内におさえて、もう少しテンポを上げれば、主軸に描かれる音楽の勢いも際立ったと思う。
難点は少なくないが、こういう本気でふざけた映画は嫌いじゃない。