1.叙情派の名匠ハルストレムが故郷スウェーデンに戻って撮ったのは、
これまでの彼の監督作とは全く一線を画すサイコ・スリラー。
冒頭の一家惨殺事件の描写からこれは本当にハルストレムの映画なのか?と思わされる。
その事件から生き延びた子ども、催眠療法を専門とする医師と事件を捜査する刑事。
それぞれの家族のドラマと、2人が事件の真相を追うミステリ・サスペンス。
面白くなりそうな雰囲気もあったのですが、うまく整理しきれておらず後半は非常に長く感じました。
作品を覆う陰鬱な空気、世界観に気が滅入りそうになる。ハルストレムの作品としては異色作ですが、
これまでにも彼が描いてきた家族は問題を抱えながらもそれを乗り越え、ラストにたどり着いてきました。
そういう意味では本作もやはり、彼らしい作品の締めくくり方でした。
その一歩手前の凍りついた湖、沈み行くバス、そして家族。この氷上のサスペンスはなかなかの迫力です。
時折挿入される北欧の雪景色が美しく、ハルストレムならではの美しい風景描写は健在です。