3.荒唐無稽の極みのアホらしい設定ですが、それなりにヒドい事もしてて、ちょっとしたホラーかも(?)。
悪いヤツに命を奪われた主人公が、愛する女性を守るべく、転生するのだけど、よりによって生まれ変わった生き物ってのが、ハエ。
と言うと、「何だ、蝿人間の話か」と思うところですが、さにあらず。何と、本当にただの蝿として生まれ変わってしまう。だもんで、そこからの主人公はセリフ無し。CGで描かれる仕草のみ。
さすがにちょっと、アイデア倒れというか、キビしいものが無いでは無いのですが、それでもこの設定の枠内で可能な最善の作品には仕上がってるんじゃないでしょうか。ハエの仕草で物語を描写するという、サイレント映画でもまだ誰もやったことのない世界。
見ていると、色々と伏線が張られていたことに気付きます。伏線というのもこれ見よがしにやってしまうと白けるもんですが、本作では、後に伏線となるモチーフの初出のシーンが、それ自体印象的な描写として映画の中で機能しているので、イヤミになっておらず、効果的で良かったです。