5.これまでに何本か見てきましたが、ル・カレ原作のスパイ映画にはいつも独特の空気があります。
アクションや銃撃戦やカーチェイスといった、映画的に見栄えがするシーンよりは、
国家や組織に翻弄される彼らの悲哀、その生きザマのドラマに重点が置かれる。
抑揚の少ない本作のル・カレの世界観に、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技が見事なまでにはまっています。
それだけに結末の衝撃と行き場の無い怒りを爆発させるラストまでのホフマンの演技もまた圧巻。
フィリップ・シーモア・ホフマンは好きな俳優だった。と過去形で語らなければならないのが残念でなりません。
40代後半、50代・・・と年齢を重ねると共に彼の俳優としての魅力にますます磨きがかかることは間違いなかっただけに。