3.お年をめされても確実に毎年新作を撮り続けてくれるアレン。ファンとしては嬉しい限りです。
前作では久々にアメリカに戻って笑いの要素を抑えたアレン節を見せてくれましたが、本作では再びヨーロッパにとんぼ返り。
南仏を舞台にアレンらしい音楽と美しい作品の色で1920年代から30年代の人間模様、恋愛模様をコミカルにノスタルジックに描いた、
これも彼が得意とするパターンの手堅い1本です。このパターンのアレン映画に漂う雰囲気は相変わらずロマンティックでいいですね。
もう50代も半ばになるコリン・ファースとまだ20代のエマ・ストーンのロマンス。
年の差がそれほど気にならない。コリンはまだまだラブコメがいけますね。
彼が演じるのはガチガチの合理主義者にして理屈っぽいインテリの皮肉屋。こういうキャラが登場するアレン映画はやはり楽しい。
コリンの持ち味がよく出ている、少々堅めにコミカルに演じた霊能力者のインチキを暴こうとするこの男、
阿部寛が「トリック」で演じた上田次郎を思い出してしまいました。
人生、時には幻想も必要。どんな合理主義者にもインテリにも、時にどうにもならないのが人の恋する気持ち。
アレンがもう少し若ければ、自ら演じて作品の中でエマと恋に落ちたかったことでしょう。
エマ・ストーンの魅力も存分に引き出された作品です。