1.マイノリティの受難の歴史を織り込みつつも、登場人物にそれぞれクセがあって、単なるお人よしではないから、説教臭さが少なくって楽しめます。ポワチエ演じる主人公は、行きずりに出会った男から馬を奪っちゃったりするし、馬を奪われたインチキ牧師はこれはもうインチキの極みだし、先住民は何だかんだと物品をせしめたりケチ臭いこと言ったりするし。だけど、もひとつパッとしない、盛り上がらない。多分、ポワチエがやるべき主人公じゃなかったのかも。今なら黒人スターもたくさんいてキャスティングも選択の幅が広くなっているけど、当時はまだそうもいかないのか、と思いつつ、でもどっちかというと分別臭いポワチエよりも、ウディ・ストロードとかの方がよかったんでは、とか思ったり。という、優等生顔で裏表の感じられない主人公がどうにもパッとしない代わりに、インチキ牧師ハリー・ベラフォンテがおいしいところを持って行っちゃいます。いかにもバナナ・ボートでも歌い出しそうな顔しながら、牧師と称しつつ読みもしない聖書を抱え、でもいざその聖書を開くと・・・ってのが何とも面白い。こういう面白さをもっと盛り込んでくれればいいのだけど。