16.ある特急に乗り込んだ犯罪とは全く無縁の男が、ひょっとしたらこの特急の中で殺人があったのではないか・・・。
という疑惑を抱くところからストーリーが動き出しますが、これが面白い!面白い!
ヒッチコックばりの巻き込まれサスペンスを軸にしながらも、
犯罪、アクション、コメディ、ロマンスといった要素が実にバランスよく配分された超娯楽作です。
見る前はもっとコメディ色が強いのかなと思っていたのですが、意外にもサスペンスとしてもしっかり作られている。
しかし、その一方で笑わせるツボもしっかり押さえている。途中から参戦のコソ泥役リチャード・プライヤーが効いている。
ジーン・ワイルダーをファンキーな黒人に変装させるくだりはかなり笑わせてくれます。
そして犯罪グループとの対決やシカゴ駅に突っ込むまでの最終アクションも手が込んでいる。
交互に訪れる緊張感のある時間帯と、それがいい具合に緩む時間帯。これが絶妙で脚本がお見事です。
疾走する特急という、アクションサスペンスとしての鉄板の舞台をしっかり活かしながらも、
ジーン・ワイルダー演じる主人公の男が度々列車から振り落とされる(その度に都合よくまた列車に追いつく)というのも面白い。
サスペンスフルに、ロマンティックに作品を彩る巨匠マンシーニの音楽は本作でもやはり素晴らしかった。