1.一言でいえば「A24ブランドとアリ・アスター監督の過去作の実績を拠り所とした信用詐欺作品」。極めて悪質かつ悪趣味な映画と考えますが、悔しいかな嫌いではありません(苦笑)。
大体において3時間の映画なんて大河ドラマにのみに許された我儘でしょう。そりゃ米映画界賞レースのトレンドが長時間化していることは承知していますが、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット(通称ポンポさん)なら評価以前でお話にならないって言うでしょうよ。実際長い!全然終わらない!正直劇場鑑賞中に何度か意識を失いかけました。でもそんなタイミングで高刺激かつ美しい(あるいは醜悪な)「オイシイやつ」をぶち込んで我々のハートを揺さぶる訳です。これは腹立たしいほどに魅力的でした。それに物語のテーマ自体はオーソドックスですし、難解奇天烈であっても解釈は可能で映画としてギリ成立していました。いや、本当にギリですよ。人によってはぶっちぎりでアウトかもしれませんが、劇場公開されている時点で監督の勝ちに違いありません。何処を切り取ってもアリ・アスター印のやりたい放題映画で、これはこれで認めざるを得ないというのが私の評価であります。困惑度ではダーレン・アロノフスキー監督の『マザー!』とデヴィッド・リンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』の間といったところでしょうか。点数は10点でも0点でもいいと思いますが、私は採点放棄という意味で5点とします。