《改行表示》28.私が選ぶのではなく、私が選ばれること。それが『ノスタルジア』のテーマである。主体性が揺らぎ、否応なく突き動かされる。私の意志とは何か。その他者性とは。意識が朦朧とした眠気の中で、ギリギリの想像を働かせる『ノスタルジア』。その鑑賞方法は正しい。 精神と芸術は人間の意志から生まれるが、それは他者との邂逅でもある。意志による制御は失われ、私は他者に強制され、翻弄される。観る人にとって、それはある意味で「学び」と同じ。選ばれしことを受け入れ想像し理解し耐え学ぶ。言葉・世界を受け入れてこそ、その地平において、非言語的な感受、ある種の元型、ノスタルジアという領域がシンクロするのではないか。 【onomichi】さん [DVD(字幕)] 9点(2024-06-19 00:52:26) |
《改行表示》27.大昔しょぼい14インチのテレビで見た時に、今度は絶対映画館で見たいと思いました。未だその望みはかないませんが、VRゴーグル+映画館をシミュレーションするアプリで近い体験が出来ました。顔に少し違和感を覚える以外、目の前に広がる圧倒的な大画面での鑑賞です。 大画面だと、タルコフスキーの製作意図なんか考える暇もなく自分が映画の中に入っている感じです。主人公と同じ視点では決して無く、主人公の後ろに立って見ている感覚です。2次元の画面を遠く離れた所から見ているのではなく、登場人物やモノがとてもリアルに感じられます。景色は、ゲーテを鬱から回復させた眩しいほどのイタリアの色彩とは全く異なり、とてもイタリアとは思えません。 退屈というレッテルがよく貼られるこの映画なのに、あっという間に時間が過ぎていきました。形而上学的な会話を登場人物たちが延々と続けるインテリ風と異なり、小さなストーリーが次々と流れていきます。ふっと笑えるシーンや女性の裸すら出てきます。 ロシアの母なる大地とタルコフスキーの母への想いがシンクロしてできたこの映画、最近なにかと話題になる「ロシア的」とは何かを知りたいと思ったのが観た目的でした。イタリアではなくウクライナで戦争をしているロシア兵はロシアへのノスタルジアを覚えるのでしょうか。それともプーチンが主張するように同じロシアだと感じているのでしょうか。 【amicky】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-09-24 09:07:27) |
《改行表示》26.とても綺麗で知的。 映像美は圧巻で故郷の哀愁は存分に伝わってきた。 ただ、個人的な好みでいえば娯楽を求めるしまうので暗くて寂しくて信仰は窮屈。 この映画を理解に達するにはソ連のイタリアの文学・芸術を勉強しなければならないと感じた。 |
25.映画館ではなく美術館にいるかのような勿体ぶった映像からは頑ななエリート芸術家目線が伝わってきます。自分の居場所に対する満たされない気分やストレスは本人でないと理解できない部分もあるとは思いますが、もう少し承認欲求を抑えてもいいのではないでしょうか? 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-11-20 16:01:01) |
《改行表示》24.正直、物語の意味は良く分からない。映像が詩的で美しいのが特徴的、かつ水の音が印象に残る。 芸術的な作品なのかもしれないが何度も観返す気にはならないので、自分には合わない映画、ということ。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-11-18 23:04:36) |
23.それぞれのシーンの「画」としての重量感や破壊力は、とてつもない水準に達しているのですが・・・しかし、登場人物は監督に都合の良いように動かされているだけであって、行動の必然性がないので、名画を何十枚も続けて展示されているようにしか見えませんでした。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-04 00:34:17) |
《改行表示》22.全く理解できない映画でした。 この映画は最後まで見終わった人の勝利、途中でやめた人は負け、というようなゲームをしているようです。 私は最後まで鑑賞したのでレビューを書かせていただきます。 他の人のレビューを読んでも、レビューそのものが理解できないものが多くて、正直、救いがありません。 どなたか、わかりやすいあらすじを書いてもらいたいです。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-01-18 20:05:46) |
《改行表示》21.この作品の神懸り的な美しさは、映画という枠さえも飛び越えてしまっているように思える。 言葉では言い尽くせない郷愁の想いを、 火、水などの自然物が我々に呼び起こす感情を詩的に映し、 極限まで抑えたBGM,まるで環境音楽のように流れる自然音で、 最高のかたちで表現している。 メッセージが全て理解出来なくとも、感じたものをそのまま受けとれば良いと思う。 人間の複雑な感情を表現するには、言葉じゃどうしても足りない。 この映画からは感情が溢れていた。 タルコフスキー映画の中では個人的に最高傑作だと思う。 【おーる】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2009-01-18 14:15:41) |
20.文学的な台詞が延々と続き、誰がどういう思いをしているかのかを知るにはあまりにも遠まわしで、ぼくにはその若干無愛想な表現の方法が辛かった。観客に理解してもらうのは二の次で、まずは自分がしたいことや思想を並べているところを見ると、芸術という印象を強く受けた。この映画は確かに綺麗だと思う。でも、感情移入は一切出来なかったし、感情を理解できても興味のわかない感情が多く、まるで楽しくなかった。改めて、ぼくには映画を観る力がまだまだ足りないのだと感じました。 【ボビー】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2008-07-08 02:29:35) |
19.この映画に感じる、映画音楽「として」の強い印象。ここでいう映画音楽とは、作品内で引用されるヴェルディ(レクイエム)やベートーヴェン(第九)だけを意味するのではありません。映画の背景に流れるすべての物音、あるいは静寂までもが、音楽なのですね。と、これだけ言うと何だかジョン・ケージの受け売りみたいでアホ丸出しだけど、どっちかというと、私はこの映画「音楽」から、ルイジ・ノーノの作品などを思い出してしまうのです。断続する微かな音と静寂。この作品を表現するのに、「映像的な音楽」と言っても当たらないし、「音楽的な映像」と言っても違和感がある。水、炎、霧といった原宗教的な映像と、さまざまな音、微かな音が織り成す独特の流れの世界。この映画がイタリアを舞台にしているのは、「音」としてイタリア語の響きが必要であったから、とすら思えてしまうのですが、これはさすがに穿ち過ぎでしょうか。そして、その流れの先にあるのは、静かなる高揚と、あまりにも美しい徒労。・・・・・・そういえば、この映画「音楽」より思いが馳せるルイジ・ノーノ作品のひとつ、彼の晩年の作品に、以下のようなものがありました。『進むべき道はない、だが進まねばならない・・・アンドレイ・タルコフスキー』 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-04-20 16:26:44) |
|
《改行表示》18.蝋燭を持って歩くシーンは確かに素晴らしいのだが・・・ 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2007-09-03 16:28:28) |
17.映像はとても綺麗で良いが内容がとてもつまらない。憂鬱、陰鬱なこの雰囲気で淡々と映像。この映画の郷愁は監督自身の郷愁であることは十分想像がつくが、そんなものを延々と見せられても堪らない。 【MARK25】さん [CS・衛星(字幕)] 2点(2007-06-17 21:31:27) |
16.綺麗な映像。夢の世界にずっといるかのよう。世界の救い方も美しい。 【Vanilla】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-16 20:36:25) |
15.氏の作品では、一番わかりやすい作品でした。もう、タイトルそのままの作品です。詩的な美しい映像が素晴らしいです。でも、やっぱり雨音の響きを聞くがごとく眠くなってしまうのは否めないのです。 【としこふ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-07 22:44:26) |
14.タルコフスキー定番の、馬、犬、水、雨、火といったものは、タルコフスキーにとっては、聖なる世界、超越的全体への水先案内人なのだろう。それらをイメージし、接することで、タルコフスキーは、聖なる世界を感じ取ることができるのだ。心理学的に言えば、それらは「移行対象」ともいえる。、、、、、だが、僕にとっての「移行対象」は擦り切れた毛布だったり、降りしきる雪だったり、生暖かい春の風だったりする。、、つまり、犬や馬を見せられても、聖なる世界とのつながりなど微塵も感じられない。だから、タルコフスキーの映像を見ていると、例えて言えば、子煩悩な親父が丹誠込めて作った子供の成長ビデオを、無理に見せられている気持ちがしてしまう。もちろん、子どもの成長ビデオといっても、ロングショットが使われていたり、嗜好を凝らした誕生パーティが描かれていたり、映像として面白いものもあるに違いない。だが、その子どもに対する愛が共有できなければ、成長ビデオは、相変わらず、他人の私的な持ち物にとどまってしまう。、、、、、、つまり、僕は、タルコフスキーの聖なるものの世界に同感できない。だから、この映画は、タルコフスキーという他者の自慰的感情吐露の私物にしか思えないのだ。 【王の七つの森】さん 5点(2005-03-18 09:36:39) |
13.なかなか話しにはいりこめず困りました。しかし、話が進むにつれ美しさなどいろいろと衝撃的な場面も垣間見ました。 【アンリ】さん 6点(2004-09-13 10:10:40) |
12.蝋燭を消さずに温泉を渡りきれたら世界が救われる?そういう妄想をよく子供時代にしたものだ。そういうぶっ飛んだ空想を理解しようとするのは無駄。こんなところに政治性やメッセージ性を探りださなくても、この作品は十二分に名作に値するものだと思う。これは映画というよりも動く絵画だ。とにかくタルコフスキーは表現者として、表現するという猛烈な動機に駆られてこの映画を完成させた。我々凡人は美術館で絵画を鑑賞するごとく、その神々しさに浸ればよいのではなかろうか。途中で眠くなるのは、BGMがほとんど無いから。あまりにも静寂すぎるから。しかし、美術館でも、行列の波におされゾロゾロと見るだけでなく、真ん中のベンチに座って休みながら、遠くからボーっと眺めることもオツなものだ。この映画だって、途中で寝ても一向に構わないと思う。タルコフスキーのノスタルジーについて予備知識が無ければ、メッセージを理解することなど困難だ。そんなことより、寝てしまったら、途中からまた見直せばよい。見終わっても、巻き戻しながら好きなシーンを見ればよい。この映画は1カットごとに、それだけのパワーがある。思わず画面に見入って、跳ね返されてしまうかのようだ。 【神谷玄次郎】さん 9点(2004-03-06 19:36:18) (良:1票) |
11.わたしたちはもっとノスタルジアつまり郷愁というものを真剣に見つめなくてはなりません。いまこの言葉はただちに否定的なものとして拒否されるものになっています。たとえば、ノスタルジーってことを言いたくても、言い訳なしでは口にできない雰囲気があります。たしかにポジティブなノスタルジーは危険ですが、そんなものはじつは語義矛盾。下のほうでも触れられていましたが、ノスタルジーは絶望と表裏一体なのです。瞬間的な絶望感で爆裂するのではなく、持続的な絶望と折り合いをつけるためにも、この作品を前に耐えていく力をつけなくてはなりません。これからの人類は。さて、その先にあるのは宗教なのですが。。。 【バッテリ】さん 10点(2004-01-16 17:36:34) |
10.初めて見た時、採点不能だった映画。再度鑑賞して言わんとしている事は掴めたが、相変わらず「分からない」。もう一度見るかどうかも「分からない」。 【STYX21】さん 6点(2003-12-04 22:51:10) |
9.美しい。本当に美しい作品です。そして厳しい。厳しいメッセージの作品です。「世界の垣根がなくなれば…」とブツブツつぶやかれる終末論。難解ではありますが、その言葉の奥に潜むメッセージは20年経った今だからこそ理解できるものではないでしょうか。 【ももたろう】さん 10点(2003-05-19 19:41:57) |