《改行表示》17.犯人からの告解を受けてしまった神父が、殺人事件の真相について口を噤まざるを得なくなる。というのは、後にジャック・ヒギンズが『死にゆく者への祈り』でも使ったネタ。他にも類例がありそう。 この『私は告白する』では、神父自身が容疑者となってしまうところがミソ。告解の件以外にもウラには事情が色々とあって、ヒッチコック作品にしては少々、ゴチャゴチャした印象もありますが、周囲からの視線を描くカットなどで主人公を追い詰めていく描写などは、いかにも、といった感じ。 犯人は意図的に神父を陥れようとしたのか?といった辺りをさらに描けば、さらにゴチャゴチャしてさらに大作になったのでしょうが、さすがにそこまでは風呂敷を広げず、90分少々にまとめ上げています。あくまで視点の主体は神父側。もっとも、犯人側の模様も幾分は描かれ、犯人の奥さんの存在が妙に印象的・・・なのはアン・バクスター演じるヒロインとの対比から来るのかもしれませんが、いずれにせよ、この奥さんが意外なキーパーソンとなります。 結末に至る展開は、「わざわざ犯人がペラペラと真相を語るのはおかしい」という声もあると思いますが、それを差し引いても、私は、こおシーンで見られる「犯人と神父とが再び対峙する」という盛り上がりの方を採りたいです。邪悪さが前面に出た、冒頭シーンの変奏としての告解。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-10-31 07:26:28) |
《改行表示》16.脚本が見事。私は「告解」に何の縁も知識もありませんが、なるほどこういう掟があるのかと。それを悪用して罪をなすり付けるとは、なんとも小賢しい感じ。しかし牧師にもいろいろ事情があって…、と重層的に展開していくのが面白い。まったく派手さはありませんが、こういう個人の思惑がチマチマと絡み合う物語も、たまにはいいものです。 それと、同僚の牧師たちが主人公をまったく庇ったりしないあたり、世の世知辛さを思い知らされます。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-08 01:37:08) |
《改行表示》15.告解の内容を他言できないという神父の守秘義務が作品のベースになっているのですが、 宗教モノでこういうサスペンスにしてしまう、そこに挿入されるロマンスも本作に無くてはならないものとして機能しています。 全盛期の作品と比較すると地味な作品ですが、ヒッチコックらしい映画職人ぶりは十分に見ることができる作品です。 モノクロならではの美しさを感じさせるロケ地のカナダ、ケベックの街並みも見どころの1つ。 第2次大戦中、終戦直後あたりのドイツ軍、ドイツ人が登場する他のヒッチコック作品でも見られますが、 本作でも真犯人のドイツ人が結構な悪に描かれています。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-11-12 23:03:02) |
《改行表示》14.神父の設定をうまく使った、サスペンスでありながら、人間ドラマにも近い作りの映画。 ロマンスをサブストーリーに物語の展開や構成等、非常に見応えのあるドラマに仕上がってます。 こんな内容の作品も作れるなんて、ヒッチコックの才能にはただただ驚くばかり。 とにかく主演のM・クリフトが抜群にカッコいい。甘いマスクにもかかわらず凛々しくて、 法衣姿がバシッとキマっている。ヒロインのアン・バクスターも上品できれい。 ロマンス絡みのシーンはさすがに粗さが目立つけど、ラストまでまったく目が離せず、 最後は思わずじーんときてしまった。メインテーマが重厚で、久方ぶりにしびれた作品。 特に男性にお薦めの逸品だが、サスペンスより普通のドラマとして鑑賞したほうがいいかも。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-03-24 06:51:45) |
13.ヒッチコックらしい普通のサスペンスよりちょっと角度を変えたサスペンス。教会になじみはないのであれなんですが、守秘義務に囚われ犯人されてしまったモンゴメリー・クリフトの若いながらの見事な演技は見もの。昔らしい証拠らしい証拠もないのにでっちあげ。「死刑台のメロディ」みたいなことがほんとにあるからアメリカって国は怖いんだよねぇ。。雰囲気は好きだしヒッチコックらしかったけどどうもサスペンスに感じなかったのは気のせいかなぁ・・。 |
12.神父という立場上、守秘義務は絶対守らなくてはいけない悲しく辛い主人公。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-06-21 13:30:18) |
11.はっきり言えばとてもおもしろい。内容もさることながら,モンゴメリー・クリフトの法衣姿がきまっていて,8点くらいつけたい気分。でも無実のイケメンが追いつめられていく展開と,おっさんケラーのむかつく悪役ぶり,そして微妙にやな感じで終わるラストに,観賞後は不快感だけが残ってしまった。だけど初っ端にテクテク通り過ぎていく監督の姿を思い出すとちょっと癒されました。 【さそりタイガー】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-06-14 17:34:00) |
10.久しぶりのヒッチコック作品の鑑賞!でもって、やはり上手い。冒頭から正にヒッチコックらしい、モノクロの映像のセンスが漂っていて自然と作品に釘付けとなる。あの斜めからの角度による教会の映し方、下から斜めからとそのアングルによる撮影により緊張感というものが効果を得ているところなど流石はヒッチコック!映像の魔術師と言われるだけのことはあります。あの不安定な建物がモノクロの映像と共に忍び寄る恐さ、教会の中での会話の場面と外の風景とを交互に素早いカット割りで映すことで生まれる心理的恐さ、教会の上に流れるあの雲などただそれでけで恐い。そして、この映画では主人公、殺人の罪をかぶせられる男を演じているモンゴメリー・クリフトの表情から感じられる苦しみ、怯える姿などは正しくこの俳優ならではのものを感じることが出来る。「陽のあたる場所」で見せた何かに怯えているような表情こそこの俳優の持ち味ではないかとここでもまたそんな素晴らしい演技が見られる。サスペンス映画として見たら確かに少し弱い部分がなくもないが、人間の心理というものを捉えた一つの作品として観ると凄く面白い。やはりヒッチコックの作り出す世界は私は好きだ。これも私にとっては満足のいく仕上がりになってます。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-06-01 13:38:29) |
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9.ヒッチの作品は女性の魅力で決まる。アン・バクスターが魅力的でないので、これは今ひとつだ。ヒッチ自身もこの作品は好きでなかったらしいし。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-12-23 01:28:22) |
8.主役のローガン神父は、まさにモンゴメリー・クリフトに当てはめ、創造されたようなキャラクターですね。常に思索にふけり、懊悩している端正なマスクのこの神父役、当時全盛期を迎え内面的演技に磨きをかけていた、クリフトにはうってつけの役どころだったと思います。地味な題材ゆえに、ヒッチコックのフィルモグラフィーの中では特に黙殺されがちなこの映画、果たしてこの神父は教会の戒律をあくまで固守し、告白された罪を白日の下に晒す事はないのか?クリフトの一挙一動演技に真実味があるからこそ、クライマックスまで緊張感が保たれ心理的サスペンスの佳作として成り立った作品のような気がします。・・・ただクリフトファンのはしくれとしては、こういう陰性な役柄より陽性なクリフトの姿を映画でもっともっと観たかったっていうのが正直な気持ち。フレッド・ジンネマン監督『山河遥かなり』を観ると、コメディにも十分対応可能な役者だったような気がするんだけど・・・。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-05-21 13:52:13) (良:1票) |
7.ヒッチコックの映画。という見方をすれば、確かにちょっと物足りない。無実の罪を着せられる主人公は「神父」という立場もあって、真実を伝えきれない。内に苦悩を秘めたまま。もうそこからして、普段のヒッチムービーとは異なってますよね。ただモンゴメリー・クリフトは、やっぱりスゴい上手いと思う。 |
6.私は結構この作品好きです。主人公の牧師さんの苦悩とか心理的な描写が好き。たぶんモンゴメリー・クリフトがうまいんだと思う。 【yukaori】さん 9点(2003-12-08 03:59:41) |
5.タイトルにちなみ、思いきって、私も告白します。「この映画、ヒッチコックにしてはイマイチです。あまり好きではありません」。以上です。 【STYX21】さん 5点(2003-11-13 21:15:22) |
4.(ネタばれあります!)なんであの女性は結婚したのかひたすら疑問。旦那さんにあっさり、前の恋人への気持ちを告白してるのにも疑問。裁判で無実になったのもそれでいいんだけど、なんか疑問。そもそもの犯人の動機自体が疑問だし、懺悔しに行くならするな!って感じの?映画。モンティは素敵。 【JEWEL】さん 5点(2003-04-25 22:46:18) |
3.ヒッチコック作品でもそんなに有名じゃないだけあって、地味な内容だ。やっぱり宗教が絡んでいるせいか? 【如月CUBE】さん 5点(2003-04-04 00:12:23) |
2. ヒッチコック先生にしては今イチ。モンティ神父が懺悔の内容をバラさずに、どう切り抜けるのか興味津々だったのに~!!何か最後で腰砕けっ!まぁ、打率10割のバッターなんて存在しないのと同じように、ヒッチの旦那と言えども凡打を放つコトもある。クヨクヨしないで、ヒッチコック先生!!Cheer up !! Take it easy !! 【へちょちょ】さん 6点(2003-02-13 02:45:42) |
1.ギュ~っと中身が詰まっていて、「映画を観た!」って思える映画です。ぼやっと観ている私でさえ、クリフトの内面的な演技に圧倒されました。こういう人を演技派というのでしょう。ワンパターンなAパ○ーノやJフォ○ターとは全然違うのです。似非演技派に限って「熱演!」なんて言われていますが、「熱心に演技してる」のがわかるようではまだ本物とは言えないのではないでしょうか。論より証拠、未見の方はご覧になってください。 【毬】さん 9点(2002-07-05 22:01:11) |