2.ジェラール・フィリップもののレビューは書かないでおこうと思っていました。だって、好き過ぎるので。何書いてイイかさえ分からないくらい好きなので。・・・いや、好きというと、ちょっと違う気がする。なんつーか、あの類稀な品のある知性美に対する密かな嫉妬と、私が生まれた時には既にこの世にいなかったという絶望と、でもその嫉妬と絶望に抗えない憧れで、勝手に葛藤している、という感じですね。なので、冷静に書ける訳がないのです、レビューなど。・・・でも考えてみれば、どのレビューも冷静に書いているとは言い難く、それは単なる言い訳。ただただ、自分なんぞが触れてはいけないものとしていただけでした。ここは思い切って一つ書いてしまえ! そうすれば、他の作品も怒涛の如く書けるだろう(いや、別に書かなくてもいいんだけど)と、勇気を振り絞って書くことに致します。・・・と、前振りが長過ぎましたが、まずは彼の遺作となった本作から。いやもう、これはですね、おフランス版「光源氏」なのです、ジェラールが。ジャンヌ・モローは葵上や紫上とは程遠いキャラなんですが、そんなのどうでもいいんです。そう、源氏物語を中世フランス舞台に書き換えたら、間違いなく主演はジェラールです。はい。そう思わせる説得力がこの映画にはあるのです。・・・うー、やっぱりなんか頭がちゃんと回らないなー。ジェラールの磁力よ、恐るべし。