1.思いっきりアートですねえ。『旅人は休まない』や『達磨はなぜ東へ行ったのか』も真っ青。映画の特徴は、というか、観始めてまず辛くなるのは、その首尾一貫したロングショットです。登場人物の顔色が全くわかりません。ユ・オソンは一体どこに出ているんでしょう。アン・ソンギという大御所が出演しているのに、クローズアップはふたりの少年が廃屋を壁の穴から覗き込む場面だけという徹底ぶり。いやはや。ロングショットは、朝鮮戦争と同時代を生きていない監督が物語の客観性を追及した結果なんでしょうけど、それにしてもこの演出は観客に集中力を要求し続けます。また、話を省略して字幕に語らせるという手法もとっているため、頭をフル回転して解釈し続けなければなりません。これは創る側も観る側も、頭の切れる人向けの作品です。冬ソナから韓流に乗った人には、まず受けないだろうなあ。