216.敢えて断言。「12人の優しい日本人」は、「12人の怒れる男」よりも断然面白い!。。。ふぅ、言ってしまった。はっきり言って推理劇タッチの「怒れる男」は僕のようなアンチミステリー派にとって、あまりにも真実を一元化しすぎているし、社会派を標榜する割りには陪審員制度の問題点を真の意味で論うことなく、居丈高な民主主義の価値観や義務感によって自ら正義を負う者として規定し、皆が一つの真実を追うことに固執すること、そのことを美化しすぎているように思える。本当の真実とはこうなんだ! こうあるべきなんだ!ってね。また、登場人物たちにはそれぞれのナラティブがあり、それは当然一つに集約すべきものではないのだ。すべての思惑が一つの真実を指し示すなんてあまりにも予定調和すぎる。所詮、おめぇたちは一般市民じゃねぇのかよ。。。などと陪審員制度自体に馴染みがない僕なんかは「怒れる男」を観た時に素直にそう思ったものです。それに比べ、この「優しい日本人」は実に「いい」加減で、最期まで正義に固執しない姿勢がとても晴れやかだし、陪審員制度が日本人に合わないことを明確に主張しているように思える。なおかつ人間描写が多分にデフォルメされてはいるけどとにかく面白い。「怒れる男」のパロディ映画としても秀逸だと思うが、これは本編に対する一種のアンチテーゼでもある。所詮、人に人は裁けないと思うよ。僕は怒れる男であるより、優しい日本人でありたいと思うけどなぁ。「真実の行方」って映画があったけど、あの映画のラストシーンを「怒れる男」に対比してみると面白いかも。 【onomichi】さん 9点(2003-09-06 17:05:08) (良:5票) |
215.『12人の怒れる男』って、これ日本だったら、ってついつい考えつつ見てしまう。三谷さんもそうだったんだろうな、と凄く腑に落ちた。その感想文をドラマにしたような本作は、単なるパロディではなく、日本人論として良く出来ている。①まず情から入ってくること。被告に同情するか否かが、ポイントになる。②個人より団体戦になる。チームが出来てしまい、無罪派は有罪派に負けるなっ、で気勢が上がる。③傷害致死で妥協しようと、落としどころを探る。ここらへん、いちいち笑ったが、日本社会のいろんな場面で目にしていることばかりで、そうそう笑っててもいられない。④休憩時間で雑談っぽくなると、みなけっこう喋りだすのもリアル。一番分身のように感じたのは上田耕一で、議論とか会議とかは向いてないんです、と逃げ腰。議論がほとんど喧嘩として神経を傷めつけてくる。でも何か役に立たなくちゃと思い、有罪・無罪と書かれた専用の投票用紙をせっせと作ってる。「縁の下の役割りなら一生懸命手伝います、そっちやりますから議論は勘弁して」というスタンス。これ分っかるなあ。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-01-17 09:55:48) (良:4票) |
214.元ネタを知らなくても何の問題もありません。本作単独で“日本人の性質”を描いたコメディとして完成しています。めちゃくちゃ面白い。ゆえに危機感を覚えます。例えば長州小力。彼の知名度は本家を上回っています。単独で芸人「長州小力」として成立しています。本家を知らずに笑っている人も多い。「長州力」を知らない人にとっては、小力が”オリジナル”です。望む望まざるに関わらず、初めて触れた方が、その人にとっての本物になってしまうという現実。しかも小力は本家より面白い。(注:長州力も別の意味で“面白い”ですけど)。でも彼が在るのは「長州力」がいるからこそ。“パロディとして素晴らしい”“本家を超えている”という賞賛は、まずオリジナルへのリスペクトありきであると考えます。ほとんど小力レビューになってしまいましたが、自分の言いたいことは、ぜひとも“先に”『怒れる男』を観て欲しいということです。これは本作に対する最大級の賛辞でもあります。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-10-06 18:02:27) (笑:2票) |
213.原作でヘンリー・フォンダは、Let's talk moreほにゃらら、と冷静に理性的に語ります。そして、その一言が、原作のいわばライトモチーフになっていたように思います。本作で、相島さんは、女性的で、やや甲高い声で、「はなしましょ、ねえ、もっとはなしましょう、ほにゃらら」と切り出します。この場面で、どっと笑いが上がるなら、本作は成功なのだと思います。で、どうなんでしょう?????、、、、、芝居小屋なら十分にその可能性はあると思いますが、この映画でそれが可能なのだろうか????、、、、、、鼻血の場面も、芝居小屋でなら、抱腹絶倒ですよね。、、、、、、、笑いながら、ふと我に返ってみて、話すことを通じて合意を形成することの意味、真実とは藪の中にあるものではないかなど教えがすぅっと理解される。、、、、、、そうなったら本当に大成功です。、、、、で、出だしの映像のタッチが、「桜の園」じゃないですか。この映像だと、素直に笑いに入っていけない感じなんですよねえ。「桜の園」が好きだっただけに、、、。ということでこんな点にしてしまいました。 【王の七つの森】さん 5点(2004-06-13 11:05:02) (笑:2票) |
212.被告の姿を描写しないことによって、被告への感情移入をしにくくし、荒唐無稽意味深長な話し合いの「コメディー性」を際立たせて「本家」との差別化を図ったのは見事だが、いかんせん役者達の無計画なオーバーアクトは「笑いのツボ」であるはずの陪審員達の「シュールなリアリティー」を駆逐し、その芝居の甘さを「アクの強さ」だけで押されても、正直どこで笑っていいのか分からなかった。 リアリティーを失ってしまった陪審員達の話し合いは、「劇団員の楽屋のリハーサル」程度にしか見えず、評決の行方などもドタバタの中で、もうどうでも良くなった。 「本家」が偉大なる傑作なだけに、パロディーにもそれなりの完成度が求められる。 そしてその間には、まだ太平洋ほどの溝があいていたように思う。 随所に「本家」をリスペクトしたシーンも含まれてはいるが、焼け石に水だ。 日本人の滑稽さをペーソスのある笑いで描こうとしたのは分かるが、かなり消化不良。 今さら言っても遅いが、このテーマならむしろ伊丹十三監督あたりの得意分野だったのではないか。 もっと頑張れよ日本映画。 キビシ過ぎるか。 【Beretta】さん [DVD(邦画)] 4点(2003-12-27 17:27:56) (良:2票) |
211.あまり三谷幸喜の笑いは好きではなかったんやけどこれはなかなか。 職場でこんなレベルの議論することはないやろうけど、町内会や学生同士のディベートではよくある感じではないやろうか? 12人は大抵デフォルメしすぎてそのまんまこの世にはおらんやろって人ばかりやけど私にとって善人のおばちゃんだけ物凄くリアルだった。 もしかしたらこれからの人生おばちゃん以外の人らにも出会う機会があるのかもしれない。 12人の怒れる~のパロディで作ったつもりなんやろうけど、製作された1991年に18年後本当に陪審員制度ができるとは誰が予想しただろう。 【CBパークビュー】さん [地上波(邦画)] 7点(2009-08-02 23:25:59) (良:1票) |
210.オリジナルの優れた脚本ありき、ではあるが、単に配役を日本人にしただけのパロディではなく、より日本人が感情移入しやすいようなドラマに再構築されている。何より、謎解き部分のクオリティは原作以上かも。仮説が組み立てられては崩されるという、本格ミステリーとしても通用するくらいのドンデン返しが用意されている点が優れている。各人の個性も際立っていて、それぞれが「妬み」「猜疑心」「劣等感」といった、主たる人間性の負の感情を代弁している。原作共々、評決の行方や事件の真相は二の次で、この場に集う人間ドラマを描くことこそがメインなのである。しかし、日本に陪審員制度が出来たら、本当にこんな感じになりそうで怖いなあ。 【FSS】さん 8点(2004-05-02 11:51:08) (良:1票) |
209.本作を見る前に「本家」を観ている事は大前提。いや笑った笑った。「本家」が典型的な男12人を描いているのに対して、こちらは典型的な日本人12人。「わたしもヤクルト」でまず大爆笑し、入って行ける。あれだけの傑作になると、島国ニッポンが何したところで本家がゆらぐ事はあり得ないんだから、ここはトコトンおバカにして大正解。それでいてちょっと毒のスパイスも効いている。わたしも陪審員やってみたいかも。 【ともとも】さん 8点(2004-01-01 23:56:31) (良:1票) |
208.「12人の怒れる男」が大好きなので見た。俺は「12人~」を観て民主主義の理想形に感動していたため、最初この映画のふざけたパロディぶりに少し腹立っていた。でも、これはこれで優れた作品だし笑い以外にも主張があると見終わった後は思いなおした。「怒れる」で対極をなす人物として描かれていた2人が、「優しい」は同一人物の人格の中に描かれていたのが出色だと思う。まともな人とイカレた人との相対化を表しているのだろう。人間群像を描いた部分についてはオリジナルに迫るものがあった。あと本筋とは関係ないけど、刑事事件では「被告」ではなく「被告人」ではなかったっけ?それが気になった。わざわざ変えているのは何か意味があるのかなぁと思いながら観てたけど最後まで分からなかった。まあ舞台は架空の設定だから関係ないのかもしれないけど。 【satou】さん 7点(2003-06-07 05:29:40) (良:1票) |
207.すごく良くできた作品だと思います。「12人の怒れる男」とはまた別の魅力のある作品でした。ユニークな個性をもつ12人がコロコロ意見を変えるあたりは、日本版の方が感情移入しやすかったです。私も優柔不断なので、人の意見に激しく左右される登場人物たちと同じだなと。あと病的なほどに有罪を主張する相島一之さんの演技は素晴らしかったと思います。「話し合いましょう」が私の口癖になりそうです(笑) 【はがっち】さん 9点(2003-03-26 00:17:30) (良:1票) |
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206.ぼちぼちでしょうか。なんかみんな演技がちょっと大げさで、笑いもベタでどうかなってとこはありましたけど、小さな部屋に閉じこめられて有罪と無罪の間を行き来するみんなの心の変化は上手く描けてたとは思います。豊川悦司好きなんですけど、相変わらずセリフ回しが下手で良かったです。 【イギリスオレンジ】さん 6点(2001-12-13 00:47:02) (笑:1票) |
205.名画と聞いていたが少々がっかりした。最初は黙って無罪に同意したのに、後で豹変する陪審員2号が異常過ぎてどうしてもついて行けなかった。それに中盤過ぎてからの、陪審員11号の後出し感が過ぎる。無駄に時間をかけた話になっていて納得できなかった。いちいち声を張り上げる演者が多いのも気になった。それにしても、平気でタバコを吸うのは1991年が大昔に感じられたな。 【毒林檎】さん [インターネット(邦画)] 2点(2024-10-09 19:04:34) |
【afoijw】さん [DVD(邦画)] 6点(2023-03-17 20:26:12) |
203.よくできた映画。 冒頭の何気ない飲み物の注文シーンから、各キャラの特徴を表して、 緻密に練られた感がある。 ところどころに散りばめられた「小ボケ」にリアクション・ツッコミをするキャラがおらず、 スルーされるのがシュールだったが、元が舞台みたいなので、それならば納得がいく。 議論が進むにつれて、有罪派・無罪派の形勢や、 各キャラへの心象も変わっていったので、 その点も楽しめた。 【2年で12キロ】さん [DVD(邦画)] 8点(2023-01-22 09:46:37) |
202.『十二人の怒れる男』に敬意を払いつつも、ミステリとして見れば、いかにも予定調和で素朴過ぎるだろう、と言わんばかりに、二転三転、ツイストを加えまくった陪審員劇となっています。 そもそも、鬱陶しい人物を12人も集めて、ひたすら鬱陶しいやり取りを繰り広げさせたら、それだけで面白い劇になるだろう、という読みは、確かにその通りで、確かに「ああ、鬱陶しいなあ」と思いながら、ズルズル引き込まれてしまう。バカミス風のアイデアも様々に盛り込まれて。 ただ、こういう、一つの部屋を舞台に延々と繰り広げられる会話劇、光景が大きく変わらない以上、撮り方にも相当に神経を使う必要が出てくる。何を撮りたいのかよくわからないような気の抜けたショットが混じってしまった途端、ガックリきてしまうのも、事実。 1957年の映画が96分にまとめられていたのに対し、こちらは内容が膨らんだ分、尺も長くなって116分。傷も、多くなりがち。 密室劇で緊張感を貫くって、やっぱり難易度高いですね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-09-22 21:15:50) |
201.密室劇は面白いのだけど、時代もあったというか、今の人たちがやったらもう少し論理的に話が進みそうな気もします。 そこでリアリティが得られるかでしょうか。 【Donatello】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-07-22 07:32:05) |
200.12人にそれぞれきっつい個性があって非常に面白い。二転三転が面白いのだが、ちょっと長いかな。途中30分くらいは中だるみな感じ。誰が有罪で誰が無罪を主張してるのか判らなくなるし、どーでもよくなる。最後にオチがついて纏まってるだけに、惜しい作品。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-12-13 22:27:22) |
199.脚本が本当によく出来ている。コメディや謎解きも交えながら人物描写も素晴らしい。 あり得ないが自然な展開。とても面白い作品だと思う。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-07-09 15:02:12) |
198.大好きな映画。 12人が議論するが、誰が主人公なのだろう。 わかった! そうか、あの人だったんだ(ヒントはリンチの『TP』)。 【激辛カレーライス】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-09-27 14:41:29) |
197.セリフを覚える位何回も観ました。 たまに観たくなって借りてくると、返すまでに最低3回は観てしまう。 何回観ても飽きないし、きまって同じ所で笑ってしまう。 ピザの場面では何度観ても「ああー」ってなっちゃう。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-09-23 14:35:40) |