76.冒頭に登場するビデオカメラの少女が観客に向かって宣言するように、さらに横移動で捉えられる学校の風景とそこに生きる高校生たちの姿は、ここが特別な場所の特別な時間であることを示している。ある人にとっては過酷であったり、甘美であったり、郷愁を誘ったり、もしかしたら今まさにそこに立っている人もいるであろう特別な場所と時間。しかし、その中に生きる高校生たちにとって、それは特別でもなんでもなく、ごく日常的な平凡な時間の積み重ねでしかない。■そんな特別だけど平凡な一瞬を私は見続けることとなる。事件が起こる訳でもない、物事が都合よく説明される訳でもない、ただ平凡な日常の断片が切り取られて提示される。例えば私は、告白する男子とそれにとまどう女子の姿を窓の外から覗き見る、バンドに誘われて訳もわからず返事をする女子の姿を壁に囲まれた枠越しにそれを眺める、あるいは顧問の先生のようにビールを飲みながら、ある種のノスタルジーを覚えながら彼女たちの練習に耳を傾ける。そんな平凡だけど特別、特別だけど平凡な時間の連なりを眺めることの心地よさ。■そして一人の少女が誰の目にもふれえない場所へと赴く。スキップをし、両手を広げ、「フランクフルトいかがですかぁ~、焼きそば、おいしいすよ~」という言葉を聞いているのは私たち観客だけだ。そして彼女は観客に向かって声を張り上げ「仲間」たちを紹介する。このシーンが素晴らしいのは、眺めるだけの存在であった私たちが彼女との時間を共有するからだ。彼女が話しかけているのは誰もいない体育館ではなく、私たち観客なのだ。■あるいは大勢の観客を前に逡巡する彼女は、突然後ろを「仲間」の方を振り返る。私は舞台の上の彼女としてではなく、まるでバンドの一員であるかのように眼前にそれを目撃する。そして唄う彼女、演奏する彼女たちを舞台の袖から見続けるのだ。■この映画が描くのは郷愁ではなく、現在の時間です。現在の時間として、人生においてまさに特別であった場所、特別であった時間を共有することの素晴らしさ。できればいつまでもそんな時間を過ごしていたいと思う。彼女たちや先生や、「あ酒ですか?」とか「OK?」とか言ってる間の抜けた男子たち、茶髪の留年女子、この映画に描かれるすべてと別れる、その痛みに、ブルーハーツのオリジナル曲が流れても涙が止まらなかったとです。 【まぶぜたろう】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-08-01 01:14:04) (良:5票) |
75.こんなに自分の(遠い昔の)高校時代を思い出したのは久しぶり。 些細な諍い、ものぐさな物言い、好きな男の子からの切りがたい電話、果たせなかった告白、間抜けな「OK?」。 どこを切り取っても普通の、キラキラなんかしていないごく普通の日常だ。 だからこそ、画面から甘酸っぱい汗の匂いさえ漂ってきそうなリアリティがある。 深い意味なんかない出来事を、余計な演出もなく、ただ見えるがままに時間だけを紡いでいく。 そしてその時間を楽しみ、愛おしむ、そんな映画だと思う。 観終わって自然と笑顔になっている自分がいた。 【poppo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-08-08 14:36:49) (良:3票) |
74.絵の構図、間の取り方、山下監督らしく適度な小津な薫りが心地良いリズムで入り込みやすかったです。どちらが好きかは人それぞれでしょうが、スウィングガールズに作られたウソ臭さを感じ、イマイチ入り込めない私としては、本作に等身大なリアルさを感じ断然リンダ派です。学校といえばプール、学校といえば屋上、文化祭といえば告白といったウソ臭さ漂う遊びすら学校だもん!青春だもん!といった感じで許せてしまいます。本番前夜の学校での高揚感は台風クラブを彷彿とさせていました。ブルーはーツをやる彼女たちを見守る甲本雅裕って弟じゃんとか芝ロックで美声を放つ湯川潮音は湯川トーベンの娘じゃんってな部分も好きです。ただ意地の悪い私としては芝ロック会場に彼女たちが間に合わない方が面白かったんじゃないかと思ってしまう。 【亜流派 十五郎】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-09-12 19:01:11) (良:3票) |
73.いや、【まぶぜたろう】さんの仰る通りだと思う。のだけれど、正直言うと、高校生の時からのブルーハーツ狂(というかブルーハーツに人生を動かされたと言っても良い)である僕はクライマックスの演奏シーンがちょっとあっさりしていたため、観終わった後、一抹の物足りなさを覚えてしまったのだ。しかし、時間が経つうちに「あれで良かったのだ」と少しづつ思えてきた。この映画は、例えば「スクール・オブ・ロック」のようなロックバンドのサクセスストーリーではない。登場人物の一人が「別に意味なんかない」と言っていたが、(さして文化的でもない)文化祭にも、その為に結成されるコピーバンドにも、別に意味も意義も無い。だけどそこにはやっぱり「何か」がある。それは、何か起こりそうな予感だったり、理由も無い高揚だったり、ふと感じる切なさだったりする。そんな平熱の青春の表情―思い切って告白したけどあっさり振られた、とか、みんなでご飯を食べたりこっそり学校に泊まったりするのが訳も無く楽しい、とか、あるいは後から見れば他愛の無い友人同士の諍いであるとか―を、この作品は慎ましやかに捉えている。そう、ここで描かれているのは何も特別な主人公ではない。ブルーハーツの「終わらない歌」の歌詞にもあるように、正に「僕や君や彼ら」の青春、何処にでもあるけれど、しかし一人一人にとってはかけがえの無い青春なのだ。・・・・・・それにしても、山下監督、すでに「巨匠」の空気を匂わせている。良いのか、まだ二十代なのに。 【ぐるぐる】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-08-03 15:43:54) (良:3票) |
72.よくもまあこんなにもつまらない映画をつくれたもんだとある意味感心する。それこそ高校生が学祭で撮る映画の方がよっぽどマシだと思われる。「等身大の高校生の日常を描いたリアルな~」などと3流評論家が書きそうなくだらなさ。個人的にバンドをやっていた人間としてはステージに遅れるヤツは本当にムカつく。許せるものではない。最初から最後まで気分の悪い映画であった。香椎の仏頂面がその象徴である。 【イサオマン】さん [地上波(邦画)] 0点(2013-02-24 21:04:21) (良:2票) |
71.ストーリーに起伏が全くない。単調すぎて頭がぼーっとしてくる。カット割りにもやる気が感じられない。素人映画 【はりねずみ】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-08-03 22:27:14) (良:2票) |
70.前田亜季が結構好きなので見てみたけれど、自分が学生だからか、ダルくて覇気の無い学生像を見せ付けられたようで全く楽しめなかった。全編単調で映画が進行するし、何を隠そうカメラに動きがないので、どうしても退屈してしまう。リアルといえば確かにリアルだけど、同年代だといまひとつ楽しめない、ような気がする。もしかしたら、何十年か経って本作を見直せば、また違った印象を持つ可能性もあるかもしれないが。 【ドラりん】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-01-11 18:39:36) (良:2票) |
69. リアルでいい、という意見が多いような気がしますが、リアルあれば映画として面白いというわけではないような気がします。私はもう少し映画的な娯楽性を期待していました。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-01-08 20:45:53) (良:2票) |
68.スウィングガールズとかウォーターボーイズなどの元気系が好きな自分にはイマイチな作品でした。リアルといえばリアルなのかもしれないけど日常をそのまま描いただけでは物足りなさを感じてしまいます。私には何一つ共感できる部分がなかったです。かなり期待はずれでした。キャストに一人くらい元気いっぱい高感度120点くらいの女の子か男の子がいてもいいんじゃないかい?誰もかれもじとっとした死んだ魚の目みたいな子ばかりでは・・・。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2006-08-06 14:36:29) (良:2票) |
67.リアルで独特で抜群の間を持つ山下敦弘監督の映画ではあったが、この作品のソレはどこか違和感を感じる。壊滅的な違和感ではなく、これまでの山下監督の作品と比べての違和感。きっと女子高生たちが作り出す間に対する個人的な思い込みに寄るところが大きいのだろうと思うのですが、もしかしたらメジャーな映画たる題材と、けしてメジャーにはならない山下ワールドとの同居がもたらす違和感なのかもしれません。仲間内だけで映画を作る素人っぽさが画面から溢れるところもこの人の好きなところなんですが、新しいスタッフを抱えた今作でも、学園祭をあまりにもいいかげんにビデオ撮りする学生の描写に、いいかげんな中にも新鮮さと楽しさがある山下監督の映画作りの原点を見た気がします。だいたい作中でもバンドのメンバー選びからしていいかげんこのうえない(笑)。物語の構成もいい。青春って大人になってから省みると劇的なこともあっただろうけど、真っ最中にはひとつの出来事として通りすぎてゆくにすぎない。この作品ではバンドメンバーのいざこざはあっても感動的な仲直りは無い。芝ロックを成功させてもそれぞれの成長は見えない。プロ顔負けに演奏が上達しているわけでもない。ここぞという場面での告白も無かった。ただ時間だけが過ぎてゆく。でもとても貴重な、そして忘れ得ぬ時間が。それがいいんです。成長って目に見えるとうそ臭くなりますから。感動って演出されるとうそ臭くなりますから。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-09-22 13:00:18) (良:2票) |
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66.高校生の時、周囲のブルーハーツ熱をよそに岡村孝子を好んで聞いていた私は、今でもカラオケで「リンダリンダ」を聞くと、やかましい奴だな~と思うだけで、その時にはキャンディーズの「微笑がえし」を思いっきり歌い返してやるのが私の反射となっていますが、そんなことはどうでもよく、さてこの映画です。なにかギスギスとした彼女たちを曇天のもと描き、少しずつバンドが好転し始めると、空には雲が流れ太陽の光が彼女たちを差す。そしてラストのどしゃ降り。あの雨は、「リンダリンダ」の歌詞の通り、彼女たちを“どぶねずみ”のように美しくした。ずぶ濡れのままステージに上がる彼女たち、では写真には写らない美しさとは・・・やはりソンさんのあのバンドの仲間を振り向いた時の視線、目には見えないあの視線ではないか。そのはにかんだ笑顔には思わず私も微笑がえしたのです。山下監督のこれまでの作品に見られる独特の間が少し希薄になり、その分留学生の日本語理解能力を笑いに変換しているような面もありますが、でもやっぱり面白いのでした。 【彦馬】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-08-18 13:06:16) (良:2票) |
65.ギターの子が言うんです。バンドをやることに「意味なんてなくていい」と。 この言葉がなんとも強く耳に残ていて。 ”花は美しく咲こうと思って咲いてるわけじゃなく、ただ咲いているだけで美しいんだ”とチャップリンが言っていた気がするけど、そうだよ、意味なんてなんら必要ないんですって。 そんなこと考えてる時間があるなら動き出さなきゃいかんのですよ。 【紅蓮天国】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-08-18 12:01:05) (良:2票) |
【Junker】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-06-21 16:18:25) (笑:1票) |
63.この雰囲気好きです。青春時代を、美化せず、かといって露悪的に描くわけでもなく、ありのまま切り取った感じ。「大人になったら自分も何ものかになれるかもしれない、いや、何ものにもなれないかもしれない」なんてことを思っていた若い日々を思い出します。 【ashigara】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-07-07 12:44:00) (良:1票) |
62.なにもかもが表層的であり、有機的に連結していません。登場人物の誰一人として劇的欲求を持っていないというのは映画として致命的。 【K】さん [DVD(邦画)] 3点(2010-07-03 18:50:40) (良:1票) |
61.だれでも高校時代はバンドをやりたがって、ガールズバンドなんて何だかカッコ良くて、女の子でブルーハーツなんかやってるバンドなんてもっとカッコいい!!なんて思っちゃうのが高校生ってもんだよ。笑 あまりにも設定がリアルすぎて楽しめなかった・・・残念。 【愛しのエリザ】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-10-16 21:14:45) (良:1票) |
60.なんてゆうか,高校生の女の子が4、5人集まったら醸し出す,あの雰囲気,リアルやなぁと思いました。ケドだからって,なんかそれが変にうまくできすぎてて,小星は寂しかったデス。見ててちょっとイラっときたりもしたっ。香椎サンのあの顔でだらだらやられても,なんかそこだけ浮いてしまってるって感じやったし。あんな美しい人選ばんでも・・・。自分ごとですが,小星も高校生の時よく学校でブルハーツ聞いてたし,文化祭で友達がブルハーツバンドで歌ってました。すんごくもりあがって,ほんとに楽しかった。だから「意味なんかない」って言われて悔しかった。リアルじゃなくていい,虚構でもいいから,も少し美化して欲しかった。・・・ってのは,わがままデスねー。でも,エンドロールのブルハの歌の方が,よっぽど感動した。 【小星】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2007-01-19 00:13:16) (良:1票) |
59.ものすごいリアルな部分とありえない部分が混同していて非常に評価が難しい作品ですね。絶賛も酷評もできる微妙中の微妙でした。 【憲玉】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-11-16 00:11:50) (良:1票) |
58.けだるげなギターの香椎由宇と茶髪が大人っぽい三村恭子、 か弱そうなのにドラム!の前田亜季ちゃんの女子高生ぶりが見所という感じ。 全体としては言いたいことはわかるけど、あまりにゆるいムードに 「一度見たら十分」とすぐ返しちゃいました。 メイン四人かブルーハーツのファンでないと辛いものがあるかもしれません。 【ひろほりとも】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2006-08-23 11:10:09) (良:1票) |
57.つまらなくはないけど、展開が平坦というかテンポ悪いというか。 物語の進行に、もう少し起伏があってほしかった。 高校・文化祭などの表現は、懐かしさを感じるほどリアルに表現。 最後の不自然な盛り上がりは練りこみ不足だが、 期待通りのブルハのラストシーン&スタッフロール。個人的にはそれだけで満足。 しかし、ブルハ好きだから観ていられたと思うが、 ブルハ知らない人や好きじゃない人にとっては、正直疑問な映画。 青春モノにブルハの曲を持ってくるなんて、鬼に金棒状態。反則気味にも近い。 笑いの要素はほぼ無いので、スウィングガールズのような娯楽映画的要素は低い。 【愛野弾丸】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-07-08 00:40:28) (良:1票) |