3.山田洋次監督の職人技炸裂。
実に痛快な作品だが、それでいて人生の悲哀も感じられる。
山田洋次監督の書く映画は、実にバランスが取れている。
ただし、山田洋次監督は数々の佳作を生み出しているが、その中にあって本作が突出しているとは思わない。
卒なく楽しめるレベルだ。
ハナ肇はパワフルでがさつな男を演じているが、その一方で女性に弱かったりもして、まるで寅さんをみているかの様である。
倍賞千恵子も若々しく、実に可憐。
名脇役女優の中北千枝子も、どこにでも居そうな主婦を自然に演じていて見事だった。
でもやっぱり、主人公を演じた有島一郎だろう。
うだつのあがらない平凡な公務員を演じているが、これが見事にツボにはまっていたし、ハナ肇が現れてから生気を取り戻したかの様にはしゃぐところなんか、実にうまかった。
それにしても、山田洋次監督の作品って、宝の山だなぁ。
まだもっと良い作品があるような気がして、探して観てみるのが楽しみだ。