124.これはドロップアウトした人たちの物語でした。彼女たちがうらやましい。ふつう、あんな意味不明な理由でフィンランドに行きますか?しかしこのバカらしいまでの彼女たちの行動力にわたしは感動すら覚えます。普通はこんな真似はできません。なぜなら、わたしたちは、家庭があって仕事があって、常になにかに縛られて生活している。そして時間がなくて忙しいという理由をでっちあげて「やりたくてもできないのだ」と自分に言い聞かせている。でも、疲れてしまって、どうしようもなくなってしまったら、無責任になって、なにもかも放り出して、ちょっと行方不明になってみるのも、楽しいかもしれません・・・・・。これは、まさにドロップアウト疑似体験映画です。今やる気十分でバリバリ仕事をしている人が観てもピンとこないかもしれませんが、時間に追われる毎日に少し疲れと疑問を感じている人が観たならば、そこからなにかヒントが生まれてくるような気がします。 私たちは生活を維持していくために、歯を食いしばって毎日働いていますが、かもめ食堂の女性たちの「働く」という意味はちょっと違う。彼女たちにとって「仕事」とは、好きな人と毎日会ってぺちゃくちゃと話をするための口実です。なんて魅力的なのでしょうか。 人間は、やろうと思えば、なんだってできる。疲れきってノイローゼになって追い込まれて自滅するくらいならば、思い切ってドロップアウトしよう。世界地図を広げて、目をつぶって、さあ、指を指してみましょう!この映画をみて真似した人も多いのではないでしょうか?私もやってみました。北朝鮮でした。 【花守湖】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-03-26 19:28:55) (良:2票)(笑:4票) |
123.働く女子のため息「ああ、どこか遠いところで、全く違う生活がしたい・・・」がそのまま映画になりました、という感じかな。自分もそんな妄想をいつも描いているし、たんたんとした映画は好きなほうだが、なぜかこの映画は楽しめなかった。きちんとしたこの店のように、すべてがキレイすぎるからか。やはりあまりにもリアリティが無いことが、大きく影響しているような気がする。主人公の性格もよくわからず、きちんとしたイイ人ぶりが、なんかうすら怖い。 【ETNA】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2007-07-16 13:57:38) (良:4票) |
122.鮭の切り身に塩をふって、焼き網の上に乗せる。熱源はガスのようだ。当然、油がポタポタ落ちてキッチンはベトベト、換気扇のないらしいキッチンは食堂内と仕切られてないので、店内は場末のホルモン屋のように煤と油が染みついて、そこにはマジックで書かれた「ホッピー」という張り紙が黄ばんで…ないんだな、コレが。 映画のマジックなワケだけど、何となくそこんとこのリアリティのなさだけが気になり、そして悲しかった。言ってみればこの店内、サチエの内面みたいなもんだ。スッキリと美しく、塵ひとつない空間。そこで魚を焼く事は、絶対できない場所。 じゃあキッチンは別の部屋になってた方がよかったのか…? もちろん画面的にはそんな事はないワケで、キッチン・食堂・表通りが素通しで見渡せる店の構造は、(ガラスへの映り込みも含めて)映画中でいろいろな画面の遊びに使用されていて、観飽きる事がない。オイラ的な結論としては、この店はコーヒーとオニギリ以外は出しちゃいけないんじゃないかって気がした。 あと、だれ一人困らずにワリバシを使いこなしてるフィンランド人たちってどうよ。 ま、ゴチャゴチャ突っ込む割に、きっとまた観に行くだろうけど…。 【エスねこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-03-21 19:06:08) (良:2票) |
121.はいりさんの本を読んで、この映画を早くみたいと思っていましたのでやっと実現しました。欲を言えば全体的にのんびりしていて、色合いもきれいで癒されます。現地のおばさんのところにご主人が戻らなくても幸せになってほしかった。「大して努力もせずに成功しちゃう話」としてみようとしない人がいますが、見えない努力、苦労は他でいっぱいしてきてるんですよ!!フィンランド行きたい。。。 【HRM36】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-04-06 17:18:08) (良:1票) |
120.テレビドラマ『すいか』が大好きなので、以前から気になってはいた映画でした。実際に見てみると、当然ながら木皿泉の世界とはかなり違う。どこかほっこりしたところは共通してますが、こちらはなんといっても説教くさくない(笑)。気楽に見られます。昔、NHKで佐々木昭一郎という人が海外で生活する日本人を主人公にしたドラマを作っていましたが、どちらかというとそっちに近いでしょうか。もちろん、そのドラマほど芸術を気取っていることもなく、素直な作りという印象。 しかし逆に言うと、インパクトに欠ける。どちらかというと「ながら見」に向いていて、真剣に向き合うという気にさせられない。何度も見返そうという気にもならない。そういうたぐいの映画でした。 まあ、シナモンロールは食べたくなったかな。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-02-22 22:43:34) (良:1票) |
119.雰囲気で魅せる映画なんですね。まともに観ようとすると、「やりたくないことをやってないだけです。」なんて言う人が運営しているお店が成功するのを見せられて、“ケッ、そんなうまくいくワケねーよ!”なんて思ってしまう。俺は人間が小さいなぁ。ま、いいか。映画なんだし。片桐はいりは外見と演技がクドすぎて、こういう映画には不向きと感じる。 【いわぞー】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-09-17 21:29:36) (良:1票) |
118.すてきな台詞が多かった。「やりたいことをやれていていいわね。」「やりたくないことをやってないだけです。」そういう、スタンスが個人的に好きです。物事の判断で方法で、やりたいことをやるというよりも、やりたくないことをしないとうほうが、誤りにくいと思うのはぼくだけでしょうかね。/「私が日本に帰ってしまったら寂しいですか。」「うーん」「やぱりさびしくないんですね。」自分が「さびしい」と答えることによって相手の決断を鈍らせてしまってはという思い。わかる気がするっす。自分の存在が相手にとって重荷にならないように思う優しさをもっと多くの人が理解すればいい世界になると思うのですが。それにしても、普通にしてるのにユーモア感たっぷりのこの映画のキャスト、その時点でもう降参です。合気道の膝行やガッチャマンにも◎。 【wunderlich】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-04-29 22:29:41) (良:1票) |
117.ミドリさんがヘルシンキの書店で読んでいたのは「ムーミン谷の夏まつり」。シリーズ9作の中からこの本が選ばれたのは内容的に示唆する部分があるからだろうか。洪水で流され、劇場ねずみエンマが一人守る劇場に谷や周辺の住人たちが流れつき、当座の住居として住みつく。エンマの指導のもと、劇を上演し劇場として機能させるべく彼ら(特に疎外感に悩まされていたミーサ)は劇団員の一人としての自覚を持ち始める。劇場もレストランも、客がきて初めて生きたものとなるという点では同じだと思う。客に何かを提供し満足してもらうことで自分たちも何かを得られる。サチエさんの場合はこだわりの和食。彼の地から漂泊してきたミドリさんとマサコさんもそれに加わり、やりがいと居場所を見出していく。「ですます」調が古風にも清新にも感じられ馴れ合いになることもない。踏み込みすぎないさっぱりとした関係が好みの方向きで、家の小さなキッチンもぴかぴかに磨きたくなる。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-25 09:19:01) (良:1票) |
116.透明なウィンドウから食堂に差し込む光がテーブルを白く輝かせ、ガラスコップやコーヒーカップがその白さに溶け込むように存在する。そこで展開する“お皿を磨く”“テーブルを拭く”“シナモンロールを作る”、そんな彼女たちの行為もその空間に溶け込んでいく。単なる会話の切り返しやクローズアップを廃し、人物を綺麗な位置関係に収めている。ワンショットは、振り向かせたり、立ち上がらせたりといった運動を伴わせ、シークエンスに挟まれるショットも路面電車、船、自転車が動いている。動く→食べる→動く→食べる、この人間=動物の単純な営みに潜む幸福感の主張がささやかだ。「やりたくないことはやらない」小林聡美と「やりたくないことでもやらざるを得なかった」もたいまさこと「やりたいことがわからない」片桐はいりが、その単純な営みを一歩昇華させ、いつでもどごでも人間は関係性の中でさらなる幸福感を得ることを見せる。動物と食材との物理的関係、個体と個体との精神的関係。オープニングの太ったかもめがとても幸福そうに思い返された。 【彦馬】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-10 23:34:56) (良:1票) |
115.片桐はいりの、目をつり上げドギマギした表情は、もはや彼女の独壇場だが、面子に反し、癖のない素直な性格の演技は貴重である。また、もたいまさこの、細い目を一層細くして軽く頷く、あの独特の仕草は、喜怒哀楽という人間の感情に於ける究極の表現方法であり、瞬時に人間味を滲ませる自身の年季をも感じさせ、彼女にしか出来ない芸当だと言える。そして、マイペースでありながら人生に於いては常に前向きで、異国であろうと何処に居ようと(いや、何処の国に生まれついても)、逞しく生きていく術を知り尽くしているような雰囲気を漂わせる小林聡美の、その明るさと元気よさ。本作の主人公にはまず彼女を措いて他にないと思わせるほどの存在感を発揮していて、今、キッチンが最も良く似合う女優さんである。この三者三様の個性派が揃い、お馴染みのオハコの演技が存分に堪能できる本作は、日本版「バグダット・カフェ」と言ってもいいような雰囲気の作品だ。人とは、外見だけでは推し量れないものだが、いつしか心を開き、打ち解け合った時の新鮮な驚きと感動を、「かもめ食堂」に出入りする人々をスケッチ風に描く事で、人との出会いの楽しさ素晴らしさを謳いあげる。饒舌に語るタイプの作品でない事は、ご覧になればお分かり頂けると思う。 確かに元気を貰いました。それだけで十分だろう。ここに行けば、みんなきっと幸せを感じられる。誰でもが行きたくなる「かもめ食堂」とは、そんな所だ。 【ドラえもん】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-02 17:28:37) (良:1票) |
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114.「フィンランド人ってなんでゆったりしているのかしら」という疑問に対してフィンランド人が、「森がありますから」と答える場面がある。で、実際に森に行ってみて、たいしたできごともなく、せっかく採ってきたきのこも落としてしまったのに、「よかったわぁ」と満足できてしまう。この映画全体が、そんな存在だった。 劇的なドラマもなく、人生の深遠に対する考察もない。だけど単純に居心地が良くて、忘れ難くて、またいつか観返してもいいかな、と思えた。「世界の終りに何をするか」という問いに対して、「好きな人たちとおいしいものを食べる」と答えられる単純さ、素晴らしさ。そうそう、なんだかんだ言ってそういうことが一番大切なんですよね。ありふれた日常の価値を噛みしめる力というものが。 役者さんがまた良い。ちょっと失礼な言い方ですが、これが美女三人組であればこうは行かなかったでしょう。片桐はいりの外見はたくましくて内面は繊細すぎるというキャラクターは、なんだかムーミン谷の住人を思い起こさせる。脇役みんなにも言えることだけど、これといった長所もなくむしろ欠点の方が目に付くのに、妙に可愛らしくて魅力的だったりする。不完全なものに対してあれこれ批評するわけでなく、やんわりと受容してしまう大らかな空気がある。 毎日が多忙で鬱病になりかかっているような人におすすめ。森林浴をするように安らげる作品です。 【no one】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-12-16 10:46:57) (良:1票) |
113.小林聡美をはじめ、役者たちの良さはすごく伝わってきました。存在感、すごいね。しかし、映画としてはちょっとなぁ、というカンジ。透明感というか、作品世界の空気感に重きをおいて、語りすぎない「雰囲気のある作品」をねらったんでしょうけど、結果的に、あまりにもスカスカで宙ぶらりんな作品になっちゃってるように感じました。最近の女性監督の作品にありがちなんですよねぇ、こんなカンジのただ「そーゆー雰囲気だけの映画」って。この作品は役者に救われてましたけどね。 【zinny07】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-11-20 06:05:54) (良:1票) |
112.もう少しまだ観ていたいような、早く終わってほしいような。 【michell】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-11-05 13:00:18) (良:1票) |
111.中部国際空港に来月からフィンランド航空が就航する、そのプロモーションみたいな作品ですね。別にどうっていうことのない、ヘルシンキにある日本食堂の毎日の風景なんだけど、衣装とか小道具とか全然隙がない。というか、とても良い映画だと思うんですが、それを形容する言葉が見つからない。「なんか、イイんだよね」が一番しっくりくる感想かも。 【denny-jo】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-05-20 23:22:15) (良:1票) |
110.第三回目の上映を見るつもりがとんでもない大入りで、結局入れたのはその日の最終上映で、これでつまらんかったら…と考えてげんなりしまいましたが、まったくの杞憂でした。音楽を極力排した構成がとても気持ちよく、登場人物それぞれが調和しあって、こんな風に生きたいな、というより少しの努力でこんな風に生きられそう…と元気をもらった気がします。だいぶ疲れてピリピリしていたのに、帰るとき聞いた女の子たちの会話、「ご飯何食べたい?」「おにぎり!」あははは~…に心があったかくなれたのは、この映画の力だと思います。 【稲荷寿司】さん [映画館(邦画)] 10点(2006-04-07 18:26:34) (良:1票) |
109.高評価が多い中で申し訳ないが、下世話な私はダメでした。とにかく最初に、どうして経営が成り立つのか、という大きな「?」が浮かんでしまったから。遠い異国の地で単身小綺麗な店を開き、自宅もそこそこ小綺麗で、その維持費だけでも相当なカネが必要なはずです。 それに、いつ来るとも知れない客のために、日々の食材の仕入れは欠かせないはず。しかし開店から1ヶ月間も客ゼロの状態が続いたとすれば、単に大赤字なだけではなく、膨大なフードロスも生んでいるはず。ところがそれに対し、主人公は良心の呵責も将来の不安も微塵も感じていないご様子。いったいこの主人公はどういう素性の人なのかと。よほどの資産家令嬢か、あるいは外資系金融か何かでガッポリ稼いで〝FIRE〟とかした人なのか。 そんなことがずっと気になっていたのですが、結局最後まで答えはなし。それどころか、ストーリーも特にあるようなないような。要するに地に足がついていないというか、糸の切れたタコみたいというか、フワフワしたままで終わってしまいました。新種のSFでしょうか。 現地で公開されたのかどうかは知りませんが、もし現地の人が見たら、日本を遠い遠い異国と感じたことでしょう。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2023-12-23 01:43:57) |
108.齢をとると映画を観て心を揺さぶられるのもしんどくなるのであるが この映画は小さなドラマがさざなみのように感じられるので心地よい 小さいドラマといえども当人にとっては大きなドラマなのではあるが 大人ならば多くを語らずとも解る 音楽がほとんどないのもよかった 【ムーンナイトロンリー】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2023-12-13 03:15:13) |
107.良作、と言える映画。 観ていて心地よくなる人も多いと思う。特に意味は深く考えずにただその生活を見ているだけでもいいか、と思わせる作品。 【simple】さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-05-21 22:31:54) |
106.フィンランドの食堂らしくイッタラ製テーブルウェアがふんだんに見られてウットリ。お高いけれど少~しずつ揃えていきたいと思った次第。食堂の雰囲気にピッタリとマッチした小林聡美の孤高のサムライで且つ人情も持ち合わせているかのような振る舞いが絶品でした。先日の「おにぎり騒動」を聞き及ぶにつけ、本作から潤いや許容を感じるところです。良作。 ガッチャマンの歌は3番まで覚えている私は善人なんですかね? |
105.過度にドラマチックな展開もなく、主人公3人の背景も最小限でひたすらスローライフを映し出す。ゆったりと、下手したら退屈な作風がフィンランドの空気にマッチしていたことが成功の要因か。見ていてちょっとだけ憧れてしまった。 |