12.訃報を目にし、つい市川崑のベストは何か、なんて不毛なことを考えてしまった。おそらく何本もの作品が気分に応じて入れ替わり立ち現われてくることだろう。今の気分だと「ぼんち」だな。崑の女性映画のエッセンスが詰まっている。今なら誰もが船場吉兆の女将を思い出すであろう毛利菊枝、おとなしい役が珍しい山田五十鈴、ただただ「お嬢さん」な中村玉緒、しっかりしている指輪コレクターの若尾文子、ひたすら尽くす草笛光子(彼女のシーンで芥川也寸志はのちのNHK大河ドラマ「赤穂浪士」のテーマを使用)、モガの越路吹雪、色気なら京マチ子、女中の倉田マユミも大映時代の崑作品の貴重な配役だ。これら最強キャスティングに、男は雷蔵と船越英二で対抗。強い女に対する弱い男の抵抗のドラマは、当然のように男の敗北で終わり、女性への畏れと賛仰が後に残る。演出スタイルはもう完成しており、崑の一つの頂点だと思う。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-02-14 12:24:30) (良:1票) |
11.「炎上」に続く市川崑監督と雷蔵のコンビ作で、大阪・船場を舞台にした代々続く足袋屋の一人息子の女性遍歴の物語。出来としては「炎上」のほうが上だと思うけど、本作は暗くシリアスだった「炎上」とは違った全体的にコミカルな作風でとても気楽に楽しめた。若尾文子、京マチ子、中村玉緒に加えて越路吹雪や後に市川監督の金田一耕助シリーズでおなじみとなる草笛光子といった女優陣がすごく豪華。出演者の中でいちばん印象に残ったのは雷蔵の母親を演じていた山田五十鈴。「用心棒」や「蜘蛛巣城」ですごみのある怖い役が得意な女優というイメージだったからちょっとなよっとしていていつも自分の母親(毛利菊枝)とベッタリくっついて登場するというある種マザコン気味の役を演じているのを見てすごくビックリした。本当にイメージ変わるかと思うほどのハマリぶりだった。うまい役者だなあ。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-07-28 01:26:05) (良:1票) |
10.知人のイチオシだったので見ようと思っていたが、古い映画だったのでずっと長い間あと回しに。 今更ながらようやく見てみたものの、まったく合わなかった。 船場のぼんちの一代記で、古き日本の風情、趣のようなものは感じるけれど、自分にはこれといって刺さるところがない。 そんな物語の内容よりも、豪華女優陣の知らなかった若き日の姿のほうが印象に残る。 若尾文子はこんなにキュートだったのか。中村玉緒、越路吹雪、京マチ子、草笛光子、山田五十鈴も若い。 特に、山田五十鈴のイメージが別人のように違っていて驚いた。 キャスティングが演出の7割を占めるという市川昆監督の言葉通り、キャスティングの妙は感じた。 原作の山崎豊子は市川監督のぼんち像にずいぶん不満だったそうだが、山崎豊子のぼんち像で見てみたかった。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 3点(2020-06-09 23:34:26) |
9.この作品好きだなあ。評判高い市川=市川コンビの炎上より好き。とくに雷蔵が良い。狂言廻し的なヌメッとした存在感。面白い。女優陣もよし。若尾文子が指輪を見せるシーンが可愛い。草笛光子が素敵。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 8点(2018-12-26 22:58:20) |
8.暖簾を守る事が何よりも優先される船場の狭い世界の「しきたり」は考えられないものばかりで、祖母の一言一句に呆れ返る。喜久治は結婚はこりごりと何人も妾を作って放蕩するが、大店の主として商いも抜かりない。「気根性のあるぼんちになれ」という亡父の遺言は守ったと言える。男性はこういう人物に憧れるのだろうか。現代劇出演は初という市川雷蔵は絢爛豪華な女優達を従えての見事な演技であり、早逝が惜しいと改めて思う。 |
7.しきたりに縛られる船場の老舗のぼんぼん喜久治、父親は仕事一筋の婿養子で影が薄い。それに引き替え母親と祖母の実権は強く、喜久治の嫁は男子を出産すると追い出される始末、というように実に鮮やかにスピーディに物語は展開する。さらに嫁がいなくなったぼんぼんに妾の世話まで焼く母と祖母、実におもしろい。 この映画の女性陣は超豪華、中村玉緒などすぐ引っ込んでしまうのがもったいないほどだが、主演の市川雷蔵も時代劇の格好良さと違ってなかなかの好演。原作のすばらしさも感じるが、脚本監督もまたそれ以上にすばらしい映画だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-06-20 16:32:57) |
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6.市川雷蔵+豪華女優陣を見てる分には楽しいが、喜久ぼんと何人かの女たちのエピソード自体はそれほど面白いとは思えなかった。大正時代?~昭和初期までのしきたりや考え方などを知る意味では悪くない。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-09-04 12:31:40) |
5.これより一昔前の映画ならば、封建的社会や男尊女卑の慣習の中で痛めつけられながら強く生きる女、あるいは生きられなかった女が描かれるんだろうけど、いつからか女は感情的な生き物から現実的な生き物として描かれるようになった。一人の男が多数の女を囲うという構図、市川崑だと『黒い十人の女』も同じ構図なんだけどこれもやっぱり女が一枚も二枚も上手。男は情けないというよりも優しい。だからといって女たちは男の優しさに翻弄されるわけでもなく、もちろん封建的社会や慣習に翻弄されるわけでもない。むしろ社会、慣習に翻弄されるのは男。豪華女優陣はさすがに目を引くが、ぼんち市川雷蔵がいい味出してる。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-08-26 15:16:40) |
4.市川雷蔵の気の抜けたような飄々とした演技を筆頭に男優陣も頑張ってましたが、それにも増して、この時代のトップクラスの個性豊かな女優陣が豪華に勢ぞろいした、とっても楽しい映画でした。中でも老舗の信用を盾に意味をなさないような下らないしきたりの数々に泣かされる、今では想像も出来ない位可愛くていじらしい若き日の中村玉緒には驚くばかり!! 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-10-14 23:15:11) |
3.話としては楽しめたが、どこか物足りない。 どこか突き詰められていない気がする。 市川雷蔵は大好きだけど、もう少し渋い役柄が好きだし。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-10-13 20:15:52) |
2.昔の日本映画は、面白かったんだな~、と素直に思える映画。みんな、自分の演じる人格をよく理解していると思う。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-11-24 10:38:25) |
1.市川崑監督、市川雷蔵のコンビ、同じく市川崑監督、若尾文子のコンビ作品ではこれが今のところ、私にとってはベスト作品です。同じ市川崑&市川雷蔵コンビでも「破戒」は良い映画かもしれないけど、どこか好きになれず、けど、これは良かった。市川雷蔵ってこんなにも演技が上手かったっけ?て思わせる上手さ、また若尾文子にしても同じ市川崑監督と組んだ他の作品より断然、良いし、それに何と言ってもあの関西弁とそして、ピンクの傘!これに尽きる。何と言う鮮やかさ、美しさ、まるで川島雄三監督の映画の中での若尾文子を観ているようで、うっとりさせられる。またその他の女優陣にしても豪華な顔ぶれ、女と女の息を呑む戦いも、ドロドロした雰囲気でなく、コミカルな雰囲気を醸し出していて、観ていて面白い。上手い演技と良い役者、特に女優陣の上手さはどれもがこれぞ映画女優の演技というものを見せてくれるし、最後まで飽きずに楽しむことが出来ました。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-07-30 08:07:49) |