59.このレビューは正直、今まで書けませんでした。自分には大したことは書けないだろう、ということはもちろんのこと、思い出すことさえ苦しい、という気持ちでした。ほかの皆さんのレビューからも同じような思いが伝わってきます。でも相変わらずニュースでは「本日イラクの○○において○人が・・」という繰り返し。明日はこの日本にどんなテロが起きるだろう、と本気で思っているものの、そのことを阻止するための具体的行動なんて、私自身何一つ起こしていません。わかっているのは、為政者は一人一人の命のことなんて考えちゃいない、ということです。せめて今、今よりはマシな人間に政権を、と思うけれど、そいつがまた似たようなことをしない、という保障はどこにもありません。だけど、今、私たちは緊急避難としてどこか別の政党を真剣に考えるべきではないでしょうか。 公開時、本作を見終わったとき、本当に何も言葉は出ませんでした。 思い出すだけでも、胸が痛くなります。 平和ボケしている今、見てみようかと思う人がいるなら、ぜひ見てください。 あなたの行く末がそこに映像として映っているかもしれないから。 【追記】原題は『Johnny Got His Gun』。メッセージ性の強い本作には、このタイトルこそふさわしいですね。 【おばちゃん】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-07-05 20:46:43) (良:4票) |
58.公開当時一度見たきりだがあまりに衝撃が強くて忘れられない。へちょちょさんが言われてるようにD・トランボは素晴らしい脚本家で、追放の辛い時代他にも変名で「手錠のままの脱獄」を同じく追放された人と書いている(彼を使ったのはS・クレイマー)。ジョニー・・は彼が書き、監督した唯一の作品。(この後、パピヨンなどを書いている)恋人もいた若くて美しいジョニーは戦場で砲撃にあい、手足もない、顔面も吹き飛ばされたまさに生きる屍になった。何の意思表示も出来ず生きているのが奇跡な位で誰も彼に意識があるとは思わなかった。彼は珍しい症例として実験的に生かされることになる。ただ心臓の動いている肉塊のようなジョニーでも光やその暖かさを感じられる。彼の言葉で観客だけは彼の心を知ることが出来る。彼は自分の頭をベッドに打ち付けてモールス信号のように通信することを思いつく。「サーカスで見せ物にしろ」という意味をようやく看護婦に気づいてもらえるが無視され、絶望した彼は今度は「死なせてくれ」と信号を送り続ける・・映画は最後まで彼がそれを訴えるところで終わる。このラストがすごい衝撃だった。戦争で傷ついた青年、生と死、尊厳死・・単なる反戦映画ではない、もっと重いものを投げかけてくる。生きていれば未来もあった青年なのに人生を奪われ、こんな状態で死にたいと思っても自ら死を選ぶことも出来ない。実験動物のように生かされる彼の絶望と残酷さに言葉がない。この時66才だった脚本家が失った人生もまた言葉にならぬほど悔しかったことだろう。順調な人生ならもっとたくさんの素晴らしい映画が出来ていただろうに、、<追記>【anemone】様、おっしゃるように最後の言葉は「SOS..Help me.. SOS...」だったように思います。ジョニーにとってのSOSは「もう生きていたくない、殺してくれ」ということだったと思います。 【キリコ】さん 9点(2003-06-05 21:53:28) (良:3票) |
57.戦争がもたらす悲劇を描く題材は数多くあるが、このような切り口があることにまず驚かされる。さすが名脚本家でもあるダルトン・トランボならではの発想です。本作は主人公ジョー(ティモシー・ボトムズ)に親しみを感じ感情移入しやすい作風になっているため、気がつけば苦しみを分け合ってしまい受け手もツラい。しかも第一次大戦中、英国兵の実話を基にしているだけになおさらだ。懐かしい家族の思い出と楽しかった恋人との一時が走馬灯のように脳裡を駆け巡る。このことが残酷な現実をより一層浮き彫りにしている。メリー・クリスマスの指文字やSOSを発信するシーンも鳥肌ものですが、個人的にはジョーが太陽の暖かさを感じ取り生を実感するシーンがいつまでも脳裡に焼き付く。見る者の大半が涙なしではいられないか、様々なことを考えさせられて当然ともいえる作品ではないだろうか。このような実例は今なお世界のあちらこちらの戦場で起こっており、軍部が世間に知れ渡るのをおそれ闇に葬っているだけかもしれません。また、この映画では今日的なテーマのひとつである、人間の尊厳死や安楽死についても問題提起している。「KILL ME KILL ME」このように一抹の希望を見出せない患者を前にして、あなたならどのような選択肢を取りますかと。名脚本家ダルトン・トランボの執念ともいえる本作には、何ら迷うことなく10点満点を差し上げたく思います。 【光りやまねこ】さん 10点(2004-09-22 10:31:10) (良:2票) |
56.この映画の存在を知ってから実際に見るまでに数年あったのですが、あらすじを想像するだけで背筋が凍りました。そして実際に鑑賞すると、夜も眠れないほどの衝撃を受けました。ここまで問答無用に人間の心を刺激するドラマは他にはないでしょう。人類がこれまでに生み出してきた物語の中でも、これは突出した存在ではないかとすら思います。実は私、これを反戦映画とは感じませんでした。たしかに製作側の意図は反戦にあったのでしょうけど、このドラマはすでに反戦というテーマすら越えています。ここで展開されるのは、人間にとっての究極の絶望。死が唯一の希望という深い絶望が、単なる概念ではなく、しっかりと画面に展開されるのです。いかなる形容詞もこのドラマには通用しません。多くの方がおっしゃるように、この映画は1度の鑑賞だけで十分です。もちろん、出来に不満があるからでも、嫌いだからでもありません。あまりに衝撃度が大きすぎて、2度目を見る勇気すらわかないのです。その裏を返せば、一度でも鑑賞すると、一生忘れないほどの深い衝撃を受けるということです。アカデミー賞を受賞したいかなる名作であろうと、ここまで心に刻まれるドラマは存在しません。そんな唯一無二の傑作が、いかなる映画ランキングにも登場しないことを私は不思議に思います。たしかに一般的な知名度はゼロに等しい映画ですが、なぜプロの評論家からも無視の状態が続いているのか。もしかしたら、この映画を正確に評論できる人がいないからなのかもしれません。私だって、この映画のレビューにはかなり気を使っています。あまりに映画がすごすぎて、ヘタな賛辞では作品を矮小化しはしないかと思うからです。それほどの究極の力作です。 【ザ・チャンバラ】さん 9点(2004-09-11 04:09:35) (良:2票) |
55.一種の都市伝説なのだろうが、人間ブ○、芋虫オ○ナなんていう話を聞いたことがある。誰の助けも来ない中、芋虫のような肉体的状態にされてしまい、見せ物小屋に売られて...という話なのだが、こういう話って、何か人間に心の底からの恐怖を呼び起こすようだ。この映画はこうした人間心理をうまく利用して作られている。実際、そのインパクトたるや凄まじいもので、私自身、見た後、問答無用の平和主義を闇雲に信奉する気になっていた。でも、そうした映画作りって、売れない芸人が笑いをとろうとパンツを脱ぐ行為に、どこか通じるものがあるのではないか。(思考力を奪うような衝撃を与え、それを笑いや感動にすり替えていく。)私の点が辛いのは、そういうわけ。*****かつて世界中で多くの若者が祖国を守るために命を捧げていったが、その献身を描いた作品も多い。世論や国民感情が為政者を突き動かす側面も忘れてはなるまい。「ジョニー」を見るには、一種の免疫として、そうした複眼の視点が要求されるのかもしれない。 【駆けてゆく雲】さん 4点(2004-07-05 23:04:44) (良:2票) |
54.今更僕のようなボンクラが付け加える事もないと思うけどあえてコメントしたい。これまで反戦映画というものを幾つか見てきたがこれほどに痛烈に反戦を謳ってるものは本当に少なかった。個人的に衝撃を受けたシーンは3つ。第1に、主人公が自分の顔に何もないということに気付くシーン、第2に、空気を取り入れるチューブをふさがれ、やっと死ねると思った主人公が看護婦に「ありがとう」というシーン、第3に、暗闇の中1人孤独に取り残された主人公が「助けてくれ、助けてくれ…」と悲痛な叫びをあげるシーン。特に、「ありがとう」というシーンは恥ずかしながら涙を流した。普段なら助かって涙を流すはずなのに、死ねることに泣くとはどういうことだろう?その答えは主人公が置かれた境遇。頭と胴以外を失って尚生き続けなければならない主人公。「生きてることは素晴らしい。だから死にたいなんて馬鹿なことは言うな」果たして、自分が彼と同じ境遇になって尚そんな事が言えるだろうか?いや、恐らく誰もが殺してくれと願うはずだ。↓へちょちょさんの言葉を借りるが、ラストを見ても尚「へぇ~、だから何?」というようなノーテンキな考えしか浮かばない連中とは個人的に永遠に親しくはなれないと思う。 【クリムゾン・キング】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2004-02-13 00:03:46) (良:2票) |
53. ダルトン・トランボというシナリオ・ライターを御存じの方は可成りの映画通です。戦前から活躍し、戦後間もなく全米を覆ったマッカーシズム所謂”赤狩り”で映画界を追われ、逮捕・投獄の憂き目に遭いました。出所後、職もなく苦慮する彼に救いの手を差し伸べた一人がウィリアム・ワイラーです。イアン・マクラレン・ハンター名義で彼がシナリオを書いたワイラーの作品が、アノ不朽の名作「ローマの休日」であることは今や有名な話ですね。その後も暫くは偽名での脚本を何本も執筆してきましたが、60年代に入って漸く本名を名乗るようになりました。そんな彼の唯一の監督作品が本作です。そもそもトランボが第1次大戦を元に原作小説「ジョニーは銃を取った」を発表したのは1938年のことでした。あまりに重く救いの無いストーリーに、映画化を積極的に検討するプロデューサーなど誰もいるハズもありません。自身で映画化に踏み切ったのは実に33年後の1971年でした。当然脚本も彼自身です。正に執念の為せる業と言うより外にありません。こうした背景を踏まえて観れば、安直な70年代テイストの後味悪さと全く次元を異にしていることは明白であるとどなたも気付くでしょう。凡そ戦死など一瞬の苦しみに過ぎません。物言わぬ肉塊と成り果てて、それでもなお実験材料として生かされ続けている境遇に耐えられますか?主人公が「殺してくれ」「殺してくれ」と絶望的にモールス信号を躰全体で発し続けるラストシーンに戦慄を覚えないようなオメデタイ方とは個人的に永遠に接点は無いでしょう。戦争の恐怖をこういった特異な形で突き付けたトランボ監督に敬意を込めて9点。明らかに王道ではないので個人的に1点マイナス。 【へちょちょ】さん 9点(2003-02-24 02:25:37) (良:2票) |
52.どっしりと重たい映画。でも鑑賞していると、心が激しく揺さぶられる。 それは主人公に感情移入しているという単純なものではなく、 自分がこの立場になったら、また実際に彼を目の前にしたら、という、 無意識のうちに疑似体験に近い脳内変換をしていることにあるのだと思う。 そういう意味では、すごい反戦映画だよね。まさに心の叫びが画面から響いてくる作品。 【MAHITO】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-05 18:54:15) (良:1票) |
51.ジョニーと看護師さんのあの場面は……愛情と同情からのことでしょうけれど、何とも言えない気持ちになります。「エレファント・マン」で有名なJ・メリックのように、体のある部分だけは損傷を免れているというのがかえって残酷な気がします。クリスマスを恋人と過ごすために立ち去ろうとする彼女が、ジョニーを振り返って見る眼差しが忘れられません。 【レイン】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-29 01:08:38) (良:1票) |
50.ダルトン・トランボについては既に多くの方が語っておられるので私ごときに付け足せるものは何もない。この映画について言えることは、とにかく他のどんな「傑作」と比べても、一度は必ず観ておくべき作品であること。私は25年前にこれを観た。そして、それから25年間、この映画に出会えたことを感謝しない日はないし、もう1度この映画を観たいと思ったこともない。2度3度、繰り返してこの映画を観られる人は、人なみ外れた強靭な精神力の持ち主だろう。少なくとも私自身に関しては、もう2度とこの映画を直視できる勇気がない。それほどこの映画の放つメッセージは痛烈であり、はっきりとした胸の「痛み」として突き刺さって来る。これまで何度も、イヤというほど「衝撃の」という宣伝文句を聞かされて来たが、どの衝撃もこの映画に比べれば蚊に刺された程度のものでしかない。阪神淡路大震災の死者が6千人。911テロの犠牲者が3千人。その1人1人に家族があり思い出や将来の夢があり、顔を見たかったわが子や孫があり、あらゆる人生にかけがえのない重さがあることを、この映画は必死で私たちに訴えかけて来る。数多くの作品を残す機会に恵まれなかったトランボは、残り少ない人生の中でそれほど沢山の映画が作れるわけではないことを承知の上でこの作品を撮った。彼がその人生の中で語りたかったことを全て、余すことなく描き切りたかったその情熱が、この映画には凝縮された怨念のようにきっちりと封じ込まれている。ジョニーは銃を取った。それが別の時代、別の国なら、あなたも私もみんな、顔もない、名前もない、黙って死んで行くしかない「死者ン千人」の1人だったかも知れない。【追記】かくして25年間1度もリピートしていないので記憶が定かでないのですが、最後のモールス信号は「SOS HELP ME」ではなかったですか?字幕ではそう出ていたように思うのですが。実際には「KILL ME」だったとか? 【anemone】さん 10点(2003-12-14 18:49:13) (良:1票) |
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49.小学生の時担任の先生に大人になったら観なさいって感じで紹介されてずっと気になっていた映画。 今考えると、たまによく分からない用事で学校を休んだりしていたので日教組だったと思うが、普段はそんな面を出さず良い先生だった。 80年代後期にメタリカのMVでほぼネタバレしてしまっているが、それでもトラウマ級の忘れられない映画であるのは確か。 自分も死ぬまでに一度は観る映画だと思う。 【たんたかたん】さん [DVD(字幕)] 9点(2024-09-04 11:51:00) |
48.意欲的な作品だ。 ほぼ個人の内面のみを表現していて、反戦の映画として特殊な設定だと思う。 以前観た時はもう少し深く入り込めた気がするが、今回はちょっと集中出来なかった。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-08-17 00:07:57) |
47.心の中に湧きあがってくる衝動がイデオロギー色に邪魔されますが、安部公房を連想させるような世界が印象的です。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-10 23:25:07) |
46.ひたすら重い、疲れる映画だった。それだけでべつに感動するとかはなかった。なぜ高い評価を得てるのか解らない。反戦映画とも言えるのだろうけど、生きることへの深い意志のようなものは描かれてなかったと思う。それよりも、みながよってたかって、このような状態でも人を生かせておくという人間性への冒涜…。そういう出口のないしんどさだけ感じた。 【柚】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-02-10 22:09:02) |
45.怖い映画。想像すればするほど、夢に見そう。ジョニーが生かされている理由がいまひとつわからなかった。 【noji】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-02-02 23:51:57) |
44.重いです。点数は作風に対して。観る人の想像力がかなり必要な映画。 【movie海馬】さん [地上波(字幕)] 8点(2013-09-19 16:06:55) |
43.怖い。グロ映画じゃないけど「顎が無い」からのくだりが怖すぎる。S.O.S. Help me S.O.S. Help me S.O.S. Help me..... 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-30 23:32:42) |
42.ダルトン・トランボ渾身の一作です。公開当時ベトナム戦争は続いていました。戦争をニュース映像で知ることはあっても、別の世界の出来事に感じられたものです。この映画を見たときは戦慄が走りました。その後、戦争に対して以前のように無関心ではいられなくなりました。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-09-02 20:55:00) |
41.「腕があれば自殺できる」、「脚があれば逃げられる」、「声があれば叫んで救いを求められる」。耳もない口もない鼻もないそして死にたくても死ねない、何もできない自分のこの怒りをどうすることもできないこの歯がゆさ、地獄すぎます。国為にしぬことはとても名誉なことではある。だけどもこの言葉を最後に聞くと絶望の淵に落とされるような感覚に落とされるのは自分だけか。 |
40.メリークリスマスのあたりで目が覚めた。あんな状況で尊厳死が認められないのは想像を絶する生き地獄だわな。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-12-27 11:27:12) |